本記事では、遺品整理の基本から、遺品整理のタイミングや遺品整理で捨ててはいけないもの、注意点などをまとめています。
遺品のなかには貴重品なども多く、誤って捨ててしまったことで、遺産相続や契約解除に影響が出ることも少なくありません。
「遺品整理はどのタイミングでやるの?」「遺品整理で捨ててはいけないものはあるの?」
といった疑問をお持ちの方は、ぜひご一読ください。

- 遺品整理の基礎知識
- 遺品整理のときに捨ててはいけないもの
- 遺品整理で捨ててはいけないものを守る対処法
- 生前に話し合う
- 遺品整理で捨ててはいけないものを保管するポイント
- 遺品整理で捨ててはいけないもの以外の処分方法
- 遺品整理を処分するときの注意点
- まとめ
遺品整理の基礎知識
まずは、遺品整理について基本的な部分をおさらいしましょう。
あわせて、自分で遺品整理を行うときの効率のよい手順や注意点などもお伝えします。
遺品整理とは?
遺品整理とは、一般的に故人の遺品を片付け、部屋をきれいに掃除していくことを指します。
遺品整理をすることで、故人を想いながら偲ぶため、精神的なお別れとしても位置づけられています。
だからこそ、悲しみが癒えるまでは、故人の思い出の品を片付けられないことも多いでしょう。
特に不慮の事故や急病により突然のお別れとなった場合、親族の心の傷は計り知れません。
故人への想いに区切りをつけ、次にすすむのが遺品整理でもあるため、
遺品整理は遺族や親族の気持ちが落ち着き、納得のいくタイミングで行うとよいでしょう。
遺品整理はいつから行うのが適切か
遺品整理を行うタイミングは、故人の住環境や自分との関係性などによって異なります。詳しくみていきましょう。
身内の遺品整理を行うタイミング
自分の家族に不幸があった際には、お葬式にはじまり、
故人の遺産相続の手続きや保険・年金・所得税など、多くの手続きを行う必要があります。
遺品整理については、諸々の手続きが終わったタイミングで、喪主をつとめた方の意見を尊重するのが理想的です。
遺品整理のタイミングは、故人の住環境によって以下のように異なります。
故人の住環境 |
遺品整理を行うタイミング |
賃貸住宅 |
・亡くなられたあとの月末か翌月末、もしくは、四十九日の法事 ・原状回復が必要 |
持ち家 |
・法要のとき ・諸々の手続きが完了したとき ・故人を亡くした傷が癒えつつあるとき |
義両親の遺品整理を行うタイミング
義両親の遺品整理のタイミングは、配偶者と、配偶者側の親族の意見を尊重しましょう。
身内の遺品整理と同様、故人の住環境によってタイミングが変わりますが、
嫁いだ方や婿入りした方などは配偶者のサポート程度にかかわるのが理想的です。
当事者同士で解決するのがむずかしい場合は、遺品整理業者や弁護士、行政書士に相談するのもひとつの手です。
効率のいい遺品整理術
故人の遺品整理を自分が行う場合は、以下のスケジュールで行うと効率よくすすむでしょう。
遺品整理の手順 |
具体的な作業内容 |
1.遺品整理中にほこりを吸い込んだり、ケガをしたりしないよう、適した服装をする。また、大量のものを仕分けるための必要な道具を用意する。 |
【服装】 ・汚れてもよい作業着や服、スリッパ ・軍手 ・マスク など 【道具】 ・段ボールとガムテープ、油性ペン ・ゴミ袋 ・はさみやカッター ・台車や軽トラなど運搬用の車 ・家具の解体を行うのであれば工具類 など |
2.遺品を「貴重品や思い出として保管するもの」「リサイクルできるもの」「処分するもの」に大きく仕分ける。 |
以下の点に気をつけて遺品を仕分ける 【貴重品など】 貴重品は法的な手続きを行う際に必要となるもののため、見つけ次第、保管する 【思い出の品】 故人の写真などは必要な親族に分ける分だけ、もしくは、残せる上限を決めて残す 【リサイクルできるものや処分するもの】 リサイクルできるものは売り、それ以外のものは一般的なゴミとして分別し、廃棄する |
3.仕分けた遺品を片付け、処分する |
形見となる遺品以外は、以下の処分方法で処分する 【遺品の処分方法】 ・リサイクルショップに売る ・自治体のルールに従い廃棄物を処理する ・不用品回収事業者を利用する |
遺品整理を行うときの注意点
遺品整理を行うときは、手続きや相続などのシーンで必要となる貴重品を捨てないように注意しましょう。
また、遺品整理には時間や費用がかかります。
リサイクルできるものをとっておくと、のちに買い取ってもらえるかもしれないため、出費を抑えることにつながります。
貴重品 |
・通帳 ・クレジットカード ・現金 ・貴金属など価値の高そうなもの ・土地の権利書といった不動産関係の書類 ・パスポート ・年金手帳 ・健康保険証 ・有価証券 |
リサイクルできるもの |
・冷蔵庫やテレビ、パソコンなどの家電 ・食器棚やタンスなどの家具 ・衣類 ・古紙、古布、プラスティック ・銅やアルミなどの金属類など |
遺品整理のときに捨ててはいけないもの
前述したように遺品のなかには捨ててはいけないものがあります。
では、なぜ捨ててはいけないのか、残しておくことで何に使われるのかをみていきましょう。
遺品整理で捨ててはいけないものを捨てるとどうなるか
遺品整理で捨ててはいけないものを捨ててしまうと、スムーズに手続きがすすまず、時間と労力がかかる可能性があります。
人が亡くなったあとには、さまざまな手続きが必要です。
例えば、お葬式の前に届け出る死亡届にはじまり、埋葬許可書、国民健康保険証の返納、国民年金受給停止、介護保険資格喪失届、
雇用保険受給者資格証の返還、生命保険金の請求や公共料金の変更などが挙げられます。
そのほかにも、人によっては運転免許証やパスポートの返納などもあるでしょう。
こうした手続きを行うには書類が必要となるのです。
遺品整理のときに捨ててはいけないもの一覧
つづいて、具体的に捨ててはいけないものをみていきましょう。
ひとりで判断すると失敗やトラブルにつながる可能性もあるため、親族と話し合いながら行ったり、
弁護士や行政書士、遺品整理業者などプロの手を借りたりすることも検討してみてください。
1.遺言書
遺言書は法的な効力をもつため、遺品整理をはじめる前に、遺言書の確認することは重要です。
遺言書には、相続以外に遺品整理についても故人の意思が書かれている可能性があります。
遺言書ではなく、録音やメールなどさまざまな形で故人の意思が残されている遺言も重要なため、保管しておきましょう。
2.通帳や印鑑、証券など
銀行の通帳や印鑑、年金手帳や年金証書、有価証券、保険証券などは重要な書類です。
例えば、通帳を捨ててしまった場合、相続人や遺族でも引き出しがむずかしくなります。
相続をスムーズに行うためにも、通帳や印鑑、証券などは種類を問わず必ず保管しておきましょう。
3.仕事関係の書類
会社からの問い合わせにそなえ、故人の仕事関係の書類は捨てずにとっておきましょう。
不要であることが確認できるまで保管しておくと安心です。
4.ヘソクリなどの現金
特にヘソクリなどの現金は、タンスなどに隠されていることもあるため、気づかずに誤って捨ててしまう可能性があります。
仕分けの際は、袋や封筒など、中身をひとつひとつ確認すると安心です。
確認するのが手間だという場合は、遺品整理業者に依頼するのもよいでしょう。
5.身分証明書
身分証明書や公共料金の領収書、クレジットカードなどは、解約のために必要なため保管しておきましょう。
そのほかにも、各種サービスの支払い通知や故人宛ての手紙や年賀状は、重要な情報源となります。
解約できるサービスはすべて解約し、故人の交友関係でなにか連絡が必要なときに参照できるようにある程度残しておくと安心です。
6.デジタル遺品
デジタル遺品とは、スマートフォンやパソコンのなかにあるデータのことです。
暗号資産やネット証券など、IDやパスワードが必要な資産もあるため、むやみに処分するのは控えましょう。
7.返却の必要があるもの
レンタル品やリース品などは、必ず返却しましょう。
誤って処分した場合は、損害金などの発生リスクがあります。
そのほかに返却が必要なものとしては、運転免許証やパスポート、クレジットカード、保険証などがあります。
いずれ有効期限が来れば失効しますが、遺品整理の際にまとめて返却しておくと安心です。
8.鍵
家や自動車、倉庫などの鍵は売却の際に必要となるため、捨てずに保管しておきましょう。
9.古美術品など買取の可能性があるもの
美術品や骨董品などの古美術品をはじめ、フィギュアやブランド品、和服などは買い取ってもらえる可能性があるため残しておきましょう。
素人からみたら価値のないものも、鑑定に出すと意外と値打ちのあるものだったというケースも少なくありません。
10.思い出の品物
故人の写真などは大切ではありますが、何冊にもわたるアルバムで保管されていることも多く、場所をとります。
データ化するなどコンパクトに残すようにしましょう。
あれもこれもと残していては、のちの管理が大変となります。
親族に分配する遺品のほか、遺族の希望にあわせて残せる上限を決めて残しましょう。
遺品整理で捨ててはいけないものを守る対処法
遺品整理で捨ててはいけないものを守るために、生前にできることをみていきましょう。
生前に話し合う
可能であれば、元気なうちに重要書類をはじめとする情報について話し合いましょう。
話しづらい内容ではありますが、のちのトラブルを最小限にするためにも情報を共有することでいざというときに困りません。
エンディングノートを確認する
エンディングノートとは、住所や本籍地をはじめ、保険や年金の情報、その他証書の保管場所、口座情報、
デジタル遺品を処分する際に必要なIDやパスワードなどを記録できるノートのことです。
自分の情報を記録できるため、高齢者だけでなく若い方にも役立ちます。
例えば、急な入院やお財布を落としたときにも、必要な情報が記載されているエンディングノートを確認すれば慌てずに対処できるでしょう。
法的な効力はありませんが、普段からひとり1冊用意しておくと安心です。
遺書を確認する
遺書や遺言書は相続とも関係するため、遺品整理の前に必ず確認する必要があります。
故人の意思を録音やメールなど簡単に残したものを遺書、民法に定めた方式で作成され、法的な効力をもつものを遺言書と呼びわけています。
遺書や遺言書に書かれていることに従うことで、遺品整理がスムーズにすすむこともあるのです。
また、遺言書ではなく、故人が公証役場で公正証書遺言をつくっているケースもあります。
のちのトラブルとならないためにも、遺品整理の前、遺書や遺言書、公正証書遺言があるかの確認は重要です。
遺品整理士にアドバイスしてもらう
遺書やエンディングノートがなく困っている方は、遺品整理士のいる業者に依頼するのが安心です。
遺品整理を一緒に行ってくれたり、保管すべきものをアドバイスしてくれたりするため、ひとりで行うよりもスムーズに遺品整理がすすみます。
遺品整理で捨ててはいけないものを保管するポイント
遺品整理で捨ててはいけないものを保管する方法をお伝えします。
残し過ぎない
故人の思い出の品だからと残しすぎると、いま生きている人の生活を圧迫することにつながります。
残す上限を決めて、負担のない量だけ残すようにしましょう。
どうしても捨てられない場合は、ある程度残して、自分の心と対話しながら段階的に処分していくのもひとつの手です。
手続きを済ませる
公共料金や各種サービスの支払い通知などは保管後、速やかに手続きしましょう。
解約が済んだものから処分していくと、手続きが終わったものと、未処理のものがなにかわかりやすく、効率的です。
大量の写真はデータ化も検討
大量の写真をアルバムのまま残すとスペースをとられてしまい、最終的に処分することになるケースも少なくありません。
故人のものを一度でも手放してしまうと二度と戻ってこないため、DVDやUSB、クラウド上などに保存してデータ化するのが望ましいでしょう。
先祖から受け継いできたものの処分は親族と話し合う
遺品のなかには価値のあるものがあります。
特に、先祖から受け継いできたものは独断ですすめることなく、親族同士で話し合うようにしましょう。
また、遺産放棄を行う場合は、先に遺品整理ができないため、親族との話し合いのあとに、弁護士へも相談するのが理想的です。
遺品整理で捨ててはいけないもの以外の処分方法
ここからは、遺品整理で処分すると決めたものの処分方法について紹介していきます。
布団などの寝具類
故人が使用していた寝具は、衛生的によくない場合もあるため、処分しましょう。
処分方法は自治体ごとに設定されているゴミの分別に従って行ってください。
ただ、介護用品としてリースされていたものに関しては、きれいに洗濯、清掃などして返却しましょう。
本や書籍、コレクションなど
本や書籍は古本屋で買取をしてもらったり、図書館へ寄付したりといった方法があります。
フィギュアやおもちゃなどのコレクションは、高く買い取ってもらえるようきれいな状態にしてリサイクルショップへ持ち込むとよいでしょう。
家電
冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電は、使えるものはリサイクルショップで買取をしてもらいましょう。
処分するものは、自治体の処理方法に従うのがよいですが、プライバシーの観点からパソコンやデジカメの取り扱いには注意が必要です。
パソコンやデジカメを処分する際には、データの消去はもちろん、自治体に確認しながら正しい方法で処分しましょう。
タンスや家具類
タンスや家具などは、価値があって残したいと思うもの以外はリサイクルショップに持ち込むか、出張引き取りで買取をしてもらいましょう。
まだ使えるからと持って帰ってきても、自宅のインテリアになじまず、最終的に処分するケースも少なくありません。
また、家具類の処分は自治体によって異なるため、不法投棄とならないようルールを守りましょう。
遺品整理を処分するときの注意点
最後に、遺品整理を処分するときの注意点をお伝えします。
自治体のごみ処理ルールに従う
自治体ごとにゴミ処理のルールが異なるため、確認しましょう。
自治体によっては、引き取り日時を事前に相談する必要があったり、粗大ごみで出しても引き取ってくれないケースがあったりします。
ごみ置き場にそのまま放置すると、不法投棄となるため気をつけましょう。
遺品整理業者を利用する
遺品整理や処分方法がわからないときは、プロの手を借りることも検討してみましょう。
遺品を仕分け、リサイクルショップに持ち込んだり、大量に出たごみを自治体のルールに従ってひとつひとつ処分したりするのは、大変な時間と労力がかかります。
そのうえ、親族とも話し合いながらとなると、とてもひとりでは対応しきれないものです。
遺品整理業者を利用したほうが、自分で行うよりも失敗が少なく、時間的・精神的な負担も少ないでしょう。
遺品整理業者を選ぶときは、一般廃棄物収集運搬業としての許可を受けた、遺品整理士が在籍している業者が安心です。
資格や認定を受けていない業者の場合、遺品を盗んだり、不法投棄したりといったトラブルが起きる可能性があります。
しっかりと遺品整理を行ってくれる業者を探し、依頼するようにしましょう。
まとめ
遺品整理とはなにか、捨ててはいけないものはなにか、遺品整理を行うポイントや注意点などをご説明しました。
処分してから後悔することがないよう、処分すべきか迷うものがあれば、いったん保管し、段階的に処分していきましょう。
どうしても仕事や家事育児などが忙しく遺品整理ができない方は、はじめから遺品整理業者に依頼するのも賢い選択です。
資格や許可を得た遺品整理業者と一緒に遺品を整理することで、大切な故人とのお別れに区切りをつけていきましょう。
【監修者:一般財団法人遺品整理士認定協会】
遺品整理業界の健全化を目的に2011年設立。
遺品整理士養成講座を運営し、認定試験・セミナー・現場研修などを実施している。
法令順守をしている30,000名を超える会員、1,000社を超える法人会員が加盟。法規制を守り、遺品整理業務を真摯に行っている企業の優良認定、消費者保護のための遺品整理サービスガイドラインの制定もおこなっている。
【執筆者:みんなの遺品整理事務局】
東証プライム市場上場の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。
はじめての遺品整理でも、専門知識が豊富な相談員が中立な立場で、無料アドバイスをさせていただきます。大切な人の生きた証を残しつつ、気持ちよく次の世代へ資産や遺品を引き継ぐために、私たちは、お客様一人一人に最適なお手伝いができる情報提供・業者のご提案を致します。