「相続放棄するのだけど、家の片付けってしてもいいの?」

「相続放棄したら形見分けもできないの?」

相続放棄をしたら、どこまで遺品整理をしてどこまで家の中を片付けていいのか悩む方は多いです。

特に、負債があることが分かった人は、安易に家の片付けをしてしまい、相続したとみなされる事態は避けたいですよね。

結論からいうと、相続放棄をした場合、家の片付けは原則できません。

なぜなら、家の中にある遺品を勝手に処分したり形見分けをしたりすると、相続をした(単純承認した)とみなされるからです。

基本的に、相続放棄する場合は、市場に出して価値があると判断されるものや家財道具などの片付けができません。

しかし、相続放棄をしたとしても、親のことを考えると何か形見分けしたいと考える方も多いと思います。

例外として市場に出しても価値がつかない写真やアルバム、使い古した衣類等の遺品は片付けや形見分けができます。

また誰が見ても明らかにゴミである生ごみや紙くずは処分ができます。

また、ゴミ屋敷になっているなど状況によっては、相続放棄をした場合であっても、掃除や片付けをしなければならないケースもあります。

相続放棄をした場合に、どんな状況でもトラブルや失敗がないように家の片付けや遺品整理ができるように必要な知識を確認していきましょう。

ただし相続放棄をしたとしても、故人の家や遺品の「管理責任」は残ります。

よって家の劣化によって周囲に被害を及ぼした場合、管理責任者であるあなたが賠償請求される恐れがあります。

この記事では、管理責任を負わずに家を片付けるために「相続財産管理人」を選任することに関する知識や、相続放棄する場合の家の片付けについてよくある注意点も解説します。

最後まで読み進めることで、相続放棄をした場合に必要な家の片付けについての知識がわかり、トラブルを起こさないように遺品整理ができるようになります。

じっくりと読み進めてみてくださいね。

相続放棄すると家の片付けはできないが例外も!失敗しない方法を解説

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1.相続放棄した場合、家の片付けは原則できない

 

冒頭でもお伝えしましたが、相続放棄した場合、原則として家の片付けをすることができません。

もし、他に相続する方がいらっしゃるのであれば、家の片付けは相続する方に任せましょう。

 

他に相続する方がいなくて、あなたも相続放棄をする場合、基本的に片付けはしないようにしてください。

相続財産である遺品を勝手に処分したり形見分けしたりすると、「単純承認」をしたとみなされます。

※単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続すること

 

一度相続されたとみなされてしまうと、故人に借金がある場合は、あなたが借金を返さなければならなくなってしまうので、慎重に片付けなければなりません。

ここでは、具体的に片付けができないものと、例外的に形見分けや片付けが行えるものについて解説していきます。

 

処分できるものとできないものは、以下の通りです。

 

どんなものが片付けできないのか、またできるものは、どういったものなのか、順番に見ていきましょう。

1-1.遺品や家に関するほとんどのものが片付けられない

相続放棄する場合、持ち家の場合や賃貸に限らず、ほとんどのものを片付けることができません。

市場に出したときに、価値がつくかどうかで判断します。

 

わかりやすくするために、大きく分けると以下のものが該当します。

 

①相続に関する遺品

相続放棄をする場合、相続に関する遺品は、市場に出したときに金銭的に価値があるみなされるものです。

処分や形見分けは避けましょう。

 

例えば、以下の遺品が該当します。

 

相続したとみなされないために、故人との思い出がある場合であっても、片付けたり形見分けしたりしないようにしましょう。

 

また、プラモデルやオーディオ機器など趣味の用品などは、あなたにとって「もう昔のものだから価値なんてない」

と感じることもありますが、実は高額取引されていたということがあります。

 

あなたにとって価値がないものであっても、第三者からみると価値がつくため、処分してしまうと単純承認したとみなされてしまいます。

このように故人の趣味の用品に関しても、勝手に処分したり形見分けしたりすると、全ての財産を相続したと見なされます。

 

勝手に処分したり形見分けしたりして、片付けないように注意しましょう。

 

②家財道具

家電製品や家具、衣類なども片付けてはいけません。

 

使い古された家電製品や家具などは、一見価値がなさそうにみえるため、処分したり片付けしたりしても問題なさそうに思えます。

しかし、価値がなさそうに思えるものでも、実はリサイクルショップなどで売れるものや、資産価値がつくものの場合もあります。

 

もう価値がつかない衣類など数点、形見分けする程度であれば、単純承認したとみなされませんが、家財道具一式を処分したり片付けたりすると、単純承認したとみなされる恐れがあります。

 

どこまで価値がついて、どれが処分できるのかという判断は、自分することは難しいです。

処分せずに保管しておくか、自己判断が難しい場合は、遺品整理に詳しい遺品整理士や弁護士などに相談するのがおすすめです。

 

③家の解体や売却

相続放棄をする場合、家の解体や売却をすることはできません。

相続財産を処分してしまうと、こちらも単純承認をしたとみなされてしまうため、相続放棄が認められなくなってしまいます。

 

相続放棄をした場合、固定資産税の支払いは免除されますが、相続放棄をした場合であっても「家の管理責任」はあります。

きちんと管理をせずに近隣に迷惑をかけた場合は、相続人が損害賠償責任を負う可能性があることを覚えておきましょう。

 

※相続放棄をしても「管理責任」は残る!

相続放棄したとしても、家や遺品の「管理責任」は残ります。

 

家財道具や貴金属類などの遺品はもちろん、家の管理責任は相続人が引き継ぎます。

 

そのため、ゴミの放置が原因で悪臭や害虫被害、自然災害での家の倒壊など近隣住人とのトラブルになった場合「管理責任」があるため、相続人は賠償責任を求められる可能性があります。

 

相続放棄をした場合は、家の解体や売却などができないため、管理をするのが難しいです。

 

相続放棄をして、家の管理責任から逃れるためには「相続財産管理人」を選任する必要があります。

トラブルにならないようにするためにも、相続財産管理人を選任して処分しましょう。

 

後ほど「4.相続放棄後に家の片付けをする際は「相続財産管理人」を選任するのがおすすめ」で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。

 

1-2.明らかにゴミであるもの・資産価値のないものは、片付け・形見分けできる

明らかにゴミであるものや、資産価値のない遺品の一部は、片付けや形見分けができます。

 

具体的には、以下のようなものです。

 

①誰が見ても明らかにゴミだとわかるもの

誰が見ても、「これはゴミだよね」と明らかにわかるものに関しては、片付けても大丈夫です。

 

例えば、以下のようなものです。

 

このように誰が見てもゴミだと判断できるものは、相続放棄をした人でも片付けができます。

ゴミを放置すると、腐敗や悪臭など近所に迷惑をかけてしまう原因にもなります。

 

遺品を相続したと見なされる心配はないので、処分しましょう。

 

②資産価値のない遺品であれば形見分けができる

資産価値のない遺品であれば、形見分けができます。

 

例えば、以下のようなものが該当します。

 

手紙や写真はもちろん、使い古されたノーブランドの衣類など数点程度であれば、相続をしたと見なされずに形見分けとして認められます。

ただし、ブランド品の衣類や家電製品など大量に持ち帰ったり、処分したりしてしまうと相続したと見なされてしまいます。

 

相続放棄した人の遺品との関わり方は、法的にも曖昧な部分が多く、知識がない人ではわかりにくいのが現状です。

もし、形見分けしたいなど遺品について迷うことがあれば、遺品整理士や弁護士に相談してみましょう。

 

【賃貸の場合】大家に片付けを求められても処分してはいけない

賃貸の場合も持ち家のときと同じく、家の中に残っている家財道具や遺品は、片付けてはいけません。

 

大家から相続人に対して、遺品や家財道具の処分を求められることがあるでしょう。

 

しかし、相続放棄をするのであれば、部屋内の遺品を処分してしまうと、単純承認したとみなされてしまいます。

 

大家や管理会社が片付けることになるので、迷惑をかけるかもしれませんが、相続放棄をしたことを説明して遺品の処分をしないようにしましょう。

 

とはいえ、今まで故人がお世話になったことを考えると、心情的に迷惑をかけたくない方も多いと思います。

誰にも迷惑をかけずに片付けを行うのであれば、相続財産管理人を選任することで、代わりに片付けをしてもらうこともできます。

 

後ほど「4.相続放棄後に家の片付けをする際は「相続財産管理人」を選任するのがおすすめ」で解説するので、こちらを参考にしてみてくださいね。

 

2.【注意】相続放棄後に家の片付けをしなければならないケースもある

 

これまで、相続放棄をした場合に片付けできないのはわかりましたが、状態によって片付けをしなくてはならないケースがあります。

 

ここでは、どの場合、片付けをすればいいのかお話ししていきます。

 

順番に解説していきます。

2-1.ゴミ屋敷、孤独死などが原因で腐敗や腐乱が進んでいるケース

家がゴミ屋敷になっている場合や、孤独死で発見が遅れてしまったケースは、家の片付けが必要です。

ご遺体の腐乱が進んでしまったり、長期間ゴミが放置されていたりすると、悪臭や害虫の発生などによって周辺住人に悪影響が出てしまいます。

 

前章でも少し触れましたが、相続放棄をしたとしても、家の管理責任は残ります。

相続する人がいない場合、管理責任者であるあなたに苦情や損害賠償が請求されます。

 

周囲に迷惑をかけたり、損害賠償を請求されて損をしたりしないためにも、家の中を清掃したり、悪臭のもとを片付けたりしましょう。

とはいえ、腐敗や腐乱が進んでいる状態だと、雑菌やカビが原因で汚れや悪臭がなかなか落ちません。

一度染み付いてしまった汚れや匂いは、普通に掃除をするのが難しいです。

 

よかれと思い、においの原因になっている遺品を勝手に処分すると、相続したとみなされてしまう恐れもあります。

自分1人で家の片付けが難しいのであれば、遺品整理に詳しい特殊清掃のプロに依頼する方法もあります。

3.ゴミ屋敷や孤独死現場になっている家の片付けはプロに任せるのがおすすめ」で詳しく説明するので、こちらをご覧ください。

2-2.【賃貸の場合】賃貸契約の連帯保証人になっていて原状回復を求められたケース

賃貸の連帯保証人になっている場合は原状回復に伴う費用を請求されたら、支払う必要があります。

原状回復とは簡単に説明すると、借主が破損したり汚してしまったりした部屋を元の状態にして大家に返還することを指します。

 

たとえ相続放棄をしたとしても、「連帯保証人」という立場と「相続放棄すること」は無関係なため、故人の連帯保証人は継続されたままです。

国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によると、以下のものについて原状回復義務があります。

 

▼原状回復義務に当たるもの

 

・賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)

・その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの

 

※通常の使用や経年劣化による、クロスの色あせや家具設置に伴う床の後などは、原状回復の義務はない

参考:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』

 

原状回復しなければならないのは、荷物を運んでいて壊してしまったふすまや壁。

たばこの煙によるヤニ汚れ・匂いや、ペットを飼っていて発生した匂い・汚れ・傷などを掃除せずそのまま放置して悪化させたものです。

 

経年劣化や通常使用以外の汚れや傷などは、相続放棄をしても連帯保証人として原状回復に伴う費用を払う義務が残ることを覚えておきましょう。

3.ゴミ屋敷や孤独死現場になっている家の片付けはプロに任せるのがおすすめ

 

前章で説明した通り、家がゴミ屋敷になっている場合や孤独死が原因で腐敗が進んでいる場合や

賃貸で連帯保証人になっていて原状回復が必要な場合、家の片付けをしなければなりません。

 

このように、相続放棄をするかつ、家の片付けが必要な場合はプロに任せることをおすすめします。

特に、孤独死の現場では、ご遺体が発見されるまで時間がたつと、部屋や家具の汚れだけでなく、異臭や害虫が発生している恐れがあります。

 

ゴミ屋敷になってしまっている場合も同様に、汚れや異臭、害虫を自力で清掃し片付けていくことは個人ではかなり難しいです。

 

さらに、遺品整理や相続放棄についての知識がない状態で片付けを行うと、遺品なのかゴミなのか判断が難しいです。

安易に処分してしまうと相続するとみなされてしまうトラブルも起こる可能性があります。

 

このようなことから、家の片付けが必要な場合は、遺品整理と特殊清掃のノウハウを持ったプロに任せましょう。

 

信頼できる業者の判断基準

・見積もり時に料金を明確に開示してくれる

・遺品整理士の資格を持っている

・特殊清掃士の資格を持っている

・特殊清掃に必要な清掃機器(高性能な脱臭機)を持っている

・害虫駆除・除菌の作業もできる

 

失敗しないためにも、信頼できる業者の判断基準を参考に選んでみてくださいね。

 

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「家がゴミ屋敷になっていて、自分で家の片付けができない!」

「相続放棄をするから、うっかり遺品を処分してしまわないか心配」

 

こんなお悩みはありませんか?

 

特に相続放棄をする場合、うっかり遺品を処分してしまうと、相続をしたことになってしまうため、自分で掃除するのは難しいです。

 

さらに、ゴミ屋敷や孤独死が原因で片付けをしなければならない場合、周囲に迷惑をかけないレベルで汚れやにおいを落とすことは困難です。

 

そのまま放置して苦情や損害賠償請求をかけられないためにも、早急な片付けと特殊清掃が必要になります。

 

しかし、業者のことを調べずに安易に選んではいけません。悪徳業者にひっかかると、遺品を勝手に処分されたり、不当な追加料金を請求されたりすることがあります。

 

トラブルを起こさないためにも、「しっかりとした安心できる業者に依頼すること」が大切です。

 

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4.相続放棄後に家の片付けをする際は「相続財産管理人」を選任するのがおすすめ

 

冒頭の方で触れましたが、相続放棄をしたとしても、家や遺品の管理責任は残ります。

誰も相続しない家や遺品は、もう誰の物でもないため、勝手に売却したり片付けをしたりすることはできません。

誰も住んでいない家や誰も使わない遺品の管理だけをしていくことは難しいです。

 

管理責任を負わずに家を片付けるのなら「相続財産管理人」を選任しましょう。

 

相続財産管理人とは、遺品や遺産を管理する業務を行う人で、裁判所が選任をしてくれます。

その地域の弁護士が選ばれるケースが多く、相続人が全員相続放棄をした場合に、相続財産の管理を代行してくれます。

 

主に、亡くなった方の債務を支払うなど清算を行い、清算後に残った財産を国庫に帰属させる手続きを行ってくれます。

ここでは、相続財産管理人を選任した方がいい理由や、相続財産管理人の選任する手順や費用について解説していきます。

 

順番に見ていきましょう。

 

4-1.お金をかけてでも相続財産管理人を選任した方がいい2つの理由

相続財産管理人を選任した方がいい理由は、以下の2つです。

 

・家の劣化によるトラブルを避けるため

・【賃貸の場合】部屋に残っている家財道具や遺品を迷惑かけずに片付けるため

 

①家の劣化によるトラブルを避けるため

先ほども説明しましたが、相続放棄をしたとしても、家や遺品の管理義務は残っています。

管理責任が残っているということは、家の劣化によるトラブルが起こると、責任をとらなければなりません。

 

相続財産管理人を選任することで、管理責任を代行してもらい、トラブルを回避することができます。

 

例えば、家が劣化したことによって、自然災害で家が損壊した結果、

その一部が隣の家の住居を傷付けるなどの被害を及ぼした場合、管理責任者であるあなたに損害賠償を請求される恐れがあります。

 

具体的に、どれくらいの賠償額が必要になるのか知るために『公益財団法人 日本住宅総合センター』が出した

空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査』を見てみましょう。

 

こちらのデータは『倒壊による隣接家屋の全壊・死亡事故を想定した試算結果』です。

参考:公益財団法人 日本住宅総合センター『倒壊による隣接家屋の全壊・死亡事故(想定)』

 

こちらの被害モデルは、空き家が倒壊して、近隣家屋が全壊し、夫婦と8歳の女児が死亡してしまったケースです。

 

最悪のケースを想定すると、普通の人では賠償しきれない金額が必要だと想定されます。

たとえ、人身事故が起きなくて、近隣家屋が全壊しただけだとしても、1,500万円と多額の損害額が必要です。

 

上記の結果から、近隣とのトラブルが起こってしまうと、相続財産管理人を選任する金額よりも、多くの損害額が必要になることが想定されます。

 

誰も住んでいない家は、傷むのが早いです。

片付けができないがために放置し続けると、建物が傷み破損や倒壊の危険も上がります。

 

特に遠方にお住まいの場合は、相続放棄した家をこのまま綺麗な状態に保つことは現実的に考えて難しいです。

相続放棄をすると、家を売却したり更地にしたりして片付けてしまうこともできません。

 

近隣とのトラブルを避け、損害賠償を請求されないためにも、相続財産管理人を選任しましょう。

 

②【賃貸の場合】部屋に残っている家財道具や遺品を迷惑かけずに片付けるため

賃貸住宅に住んでいた場合、家財道具やその他の遺品などが残っています。

 

相続放棄をするのならば、大家から処分を求められても部屋の中の片付けをしなくてもいいことになっています。

しかし、そのまま家財道具や遺品などを放置していると、大家に対してかなり迷惑をかけることになります。

 

故人がお世話になっていたことを考えると、心情的に迷惑をかけてそのまま放置することはできない方も多いでしょう。

遺品に関するものは、処分することができないため以下のことを行わなければなりません。

 

・自分の家へ持ち帰り保管をする

・スペース的に難しい場合は、トランクルーム(1帖あたり4,000円~16,500円)などを借りて保管する

 

しかし、現実的に考えて、家に大量の遺品を保管するスペースを確保することや、毎月1万円前後する費用をかけてトランクルームを借りることは、難しいです。

 

誰も相続しない不要なもののために、スペースや費用をかけられないですよね。

誰にも迷惑をかけずに、かつ手間をかけない方法で、片付けを行うのであれば、相続財産管理人を選任して、代わりに管理してもらいましょう。

 

4-2.相続財産管理人の選任を申し立てる3STEP

相続財産管理人は、以下の手順で申し立てを行います。

 

相続財産管理人の選任を申し立てる手順

STEP①相続人が他にいないのか再度確認する

STEP②故人が最後に住んでいた住所の家庭裁判所に申し立てをする

STEP③審査が行われ、相続財産管理人が選任される

 

STEP①相続人が他にいないのか再度確認する

相続人が他にいないのかもう一度確認しましょう。

 

相続財産管理人を選任できるのは、相続人が他にいない場合です。

本当に相続人がいないのか明らかにするために、故人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本を取り寄せて確認しましょう。

 

遠方にお住まいの場合は、郵便でも取り寄せができます。

必要なものを準備して郵送で依頼しましょう。

 

▼(窓口の場合)戸籍謄本の申請時に必要なもの

・役所の申請書(窓口でもらえる)

・故人の家族と分かる自分の戸籍謄本

・印鑑

・本人確認書(免許書・マイナンバーカード・パスポートなど)

・1通あたり450円(市区町村によって異なる場合がある)

 

▼(郵送の場合)戸籍謄本の申請時に必要なもの

・申請書(各役所のホームページからダウンロードできる)

・本人確認書のコピー(免許書・マイナンバーカード・パスポートなど)

・故人の家族と分かる自分の戸籍謄本のコピー

・定額小為替(450円)

・返信封筒(切手貼付84円)

 

後ほど説明しますが、こちらの戸籍謄本は、申し立てをする際にも必要になります。

 

STEP②故人が最後に住んでいた住所の家庭裁判所に申し立てをする

故人が最後に住んでいた住所地の家庭裁判所に、相続財産管理人の選任申し立てをします。

どこの家庭裁判所になるか分からない場合は、『裁判所の管轄区域』から確認してみてください。

 

以下の必要な書類を準備して選任申し立てを行いましょう。

 

相続財産管理人の選任申立に必要な書類

・申立書(収入印紙800円を貼付)

・被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本

・被相続人とその両親の戸籍謄本

・被相続人の子供・兄弟姉妹・直系尊属(被相続人の父母・祖父母)で死亡者がいる場合はその死亡者の戸籍謄本

・財産の資料(不動産登記証明書・有価証券・預金通帳の写し・残高証明書など)

 

他に相続人がいないのか確認する書類や、財産について確認する書類が必要です。

漏れのないように準備しておきましょう。

 

STEP③審査が行われ、相続財産管理人が選任される

申し立て後、審理が行われ、裁判所が相続財産管理人を選任します。

相続財産管理人になってもらいたい人を、裁判所に推薦することができますが、必ずしもその人が選ばれるというわけではありません。

 

亡くなった方の債務の整理や財産を国庫へ納める仕事をするなど大変な作業になるため、裁判所の裁量により「地域の弁護士」の中から選ばれるのが一般的ということを覚えておきましょう。

 

4-3.相続財産管理人の選任のために必要な費用や予納金

相続財産管理人を選任するためには、相続を管理するための経費や報酬などが必要です。

 

具体的に、必要な費用は以下の通りです。

 

 

費用

備考欄

予納金

10万円~100万円前後

経費や報酬、故人の預貯金によって変わる

収入印紙

800円

申立書に貼付する

官報公告料

4,230円

政府の刊行誌へ掲載する費用のこと

※相続財産管理人を選任したことを公告(国が一般に告知をすること)に出す

郵便切手代

1,000円~2000円前後

連絡用に使う

※家庭裁判所によって異なる

 

収入印紙や郵便切手代などの経費の他に、予納金を納めなければなりません。

 

※予納金とは、相続財産管理人の経費や報酬に充てるため、申し立てた人があらかじめ納めるお金のことです。

 

原則的に、相続財産管理人への報酬や経費は、相続放棄をする財産から支払われます。

しかし、財産よりも負債が多くなってしまう場合は、相続財産管理人への報酬を払いきれません。

 

放棄した財産では報酬や経費を支払いきれない場合のために、予納金を納める必要があります。

 

予納金の額は、相続財産の金額や、管理に関わる経費(裁判所が判断する)などによって異なります。

管理に関わる費用は、相続財産を管理する事案の難易度によって違いがあるため、予納金の額に幅があります。

 

例えば、管理に必要な費用が200万円で故人の預貯金が150万円ならば、予納金は50万円必要となるということです。

 

どれくらい予納金が必要になるのか知る場合は、事前に裁判所に聞いてみましょう。

相続財産の管理を終えて、全て国庫に帰属した後、経費や報酬など支払って余りがある場合は、返金されることもありますよ。

 

※相続財産管理人の選任申し立てをする場合、費用も明確な情報はなく、集める書類も多いため、大変な作業です。

 

自分で、できなかったり分からなかったりすることが多いと思います。

 

スムーズに家を片付けて管理責任から免れるためには、法律的な専門知識が必要です。

 

少しでもわからないことや迷うことがあれば、後悔しないためにも専門知識を持った弁護士に相談をしてみましょう。

 

5.相続放棄後の家の片付けについてよくある3つの注意点

 

相続放棄をするときの家の片付け等についてよくある注意点を解説します。

「相続放棄したのに、できてなかった!」と後で後悔しないためにも、以下の注意点について確認しておきましょう。

 

順番に見ていきましょう。

 

5-1.形見分けは必ず第三者から見て価値がない物のみをする

相続放棄をして形見分けをしたい場合は、必ず第三者から見て価値がないものだけにしましょう。

自分たちの判断では、価値がない物だと思っているものが、実は高値で取引されていることがあるからです。

 

資産価値があるものを形見分けしてしまうと、相続したとみなされてしまいます。

 

例えば、「この古い着物は価値がないと思うけど、生前はなんか大事にしていたっぽいし、形見として持っておきたい!」と考えていたとしましょう。

自分たちにとって価値のないものだと思っているものであっても、実は歴史的価値があるものやコレクターなどが集めているなどの理由で、資産価値がある物も存在します。

 

資産価値があるものを形見分けしてしまうと、負債も含めたすべての財産を相続したとみなされてしまいます。

 

相続放棄をして家を片付けるのであれば、「1-2.明らかにゴミであるもの・資産価値のないものは片付けができる」で解説した、明らかにゴミであるものや手紙や写真以外は片付けや形見分けをせず、手を付けないようにしましょう。

 

5-2.相続放棄をするときは預金口座の解約手続きはしない

相続放棄をする場合は、預金口座の解約手続きなどしないようにしましょう。

 

ゴミなどの片付けや簡単な形見分けを行っていると、預金通帳なども出てくると思います。

よかれと思い、預金口座の解約手続きをすると、単純承認とみなされる恐れがあるからです。

 

解約手続きを行うと、預金口座から残っているお金が引き出されてしまいます。

もし、その口座に残っているお金に手を出してしまうと、相続したとみなされるため、相続放棄ができなくなってしまいます。

 

金融機関が預金口座を持っている人が亡くなったことを把握した場合、口座を凍結するのでそのままにしておきましょう。

すでに預金を解約してしまった場合は、そのお金には絶対に手を付けないようにしましょう。

 

そのまま保管されていれば、財産を使ったとはいえないため、相続放棄が認められることはあります。

相続人が元々所有しているお金と混同しないように、袋や金庫を分けるなどして保管することが重要です。

5-3.未払いの家賃や医療費などの債務は支払わない

未払いの家賃や医療費など請求されることがありますが、支払わないようにしましょう。

相続人が相続を放棄した場合は、未払いの家賃や医療費などの債務も最初から相続がなかったものとして扱われます。(※民法第939条参考)

 

家賃の支払いをした時点で、負債の相続を承認することになってしまうため、相続放棄ができなくなってしまいます。

万が一、請求された場合であっても「相続放棄をしたから払えない」という事情を話して支払わないようにしましょう。

 

ただし、賃貸や医療費の保証人となっている場合は、支払い義務を免れません。保証人になっている場合は、未払いの家賃や医療費を支払う必要があります。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続放棄した場合は基本的に、家の片付けができないことがわかったと思います。

 

片付けや遺品整理ができるものや、相続放棄したとしても片付けなければならないケースもあるため、内容を確認するためにも、この記事の内容をまとめておきます。

 

相続放棄した場合、片付けができないものや例外として片付け・形見分けができるものは、以下の通りです。

 

以下の状態であれば、相続放棄したとしても家の片付けが必要です。

 

相続放棄をした場合、うっかり遺品を処分すると相続とみなされる恐れがあります。さらに、ゴミ屋敷などの状態を自力で綺麗にすることは難しいです。

家の片付けをしなければならない場合は、遺品整理と特殊清掃のノウハウを持ったプロに任せましょう。

 

また、相続放棄をしたとしても、家や遺品の管理責任は残ったままです。

誰も住んでいない家や誰も使わない遺品の管理だけを行うのは難しいです。管理責任を負わずに家を片付けるのなら「相続財産管理人」を選任しましょう。

 

最後に相続放棄をする時の家の片付け等についてよくある注意点をまとめておきます。

 

この記事を参考に、相続放棄や家の片付けをトラブルなく終えることを願っております。

 

【監修者:一般社団法人遺品整理士認定協会】

遺品整理業界の健全化を目的に2011年設立。

遺品整理士養成講座を運営し、認定試験・セミナー・現場研修などを実施している。

法令順守をしている30,000名を超える会員、1,000社を超える法人会員が加盟。法規制を守り、遺品整理業務を真摯に行っている企業の優良認定、消費者保護のための遺品整理サービスガイドラインの制定もおこなっている。

 

【執筆者:みんなの遺品整理事務局】

東証プライム市場上場の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。

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