「親の家を片付けるにはどうしたら良いのだろう?」
「親が片付けを拒否して困っている。」
この記事を読んでいる方は親の家にものが多く散らかっていることが気になり、すぐにでも片付けたくなっているのではないでしょうか。
しかし、親の家を片付けるのは簡単なことではありません。
この記事では親と揉めることなくスムーズに片付ける方法を説明していますので、親の家を失敗なく片付けたい方はぜひ最後までご覧ください。

- 1. 親の家の片付けで知っておくべき2つの問題
- 2. 親の家をうまく片付けるまでの3ステップ
- 3. 【親の家を自力で片付ける場合】失敗しないおすすめの片付け手順
- 4. 【親の家を自力で片付けられない場合】業者に依頼する
- 5. 親の家を片付けるときに心がけるべき5つのこと
- まとめ
※片付けの手順やコツが知りたい方は、下の記事もぜひご一読ください。 |
親の家の片付けが難しいのは、次の2つのような問題が生じ得るからです。
親の家を片付けるにはどうすれば良いかを考える前に、この親の家の片付けで生じ得る問題を理解しておくことが重要です。
上記の問題を理解した上で次のステップに従っていくと、親と揉めず、大きな失敗もなく親の家を片付けられる可能性が高まります。
この記事では、以下の内容をまとめて説明しています。
・親の家の片付けで知っておくべき問題
・親の家をうまく片付けるまでのステップ
・親の家を自力で片付ける場合のおすすめの片付け手順
・親の家を自力で片付けられないときの対処方法
・親の家を片付けるときに心がけるべきこと
読んでいただければ、次のことをお分かりいただけます。
◎親の家を片付けるときに起きやすい問題は何か
◎問題を回避しながら親の家を片付けるには、どのような手順を踏んでいけば良いのか
◎親の家を自力で片付ける場合は、何を行えば失敗しないのか
◎親の家を自力で片付けられない場合は、どうすれば良いのか
◎親の家を片付けるときには、どのようなことを心がければ良いのか
一緒に住んでいない親の家を片付けるのは気が重いかもしれませんが、ぜひ最後までご覧ください。
1. 親の家の片付けで知っておくべき2つの問題
冒頭でも説明した通り、親の家を片付けるにはどうしたら良いかを考える前に、親の家を片付けるにあたって生じ得る問題を知っておきましょう。この問題を知っておくことで、親と揉めることを回避でき、大きな失敗もなく親の家を片付けられる可能性が高まります。
親の家の片付けにおいて知っておくべき問題というのは、次の2つです。
1つずつ説明していきましょう。
1-1. 親が家の片付けに納得してくれない
1つ目の問題は、親が家の片付けに納得してくれないことです。
家の片付けに納得してくれない理由としては、次の2つが考えられます。
①親が今の生活環境に満足している
②終活するように言われているようで不快に感じる
①親が今の生活環境に満足している
親が今の生活環境に満足しているのであれば、一緒に住んでいない子どもから家の片付けをやるように言われると「なぜ片付けなければならないのか?」と疑問に感じるでしょう。
内閣府が公表している高齢者(60歳以上)の生活環境の調査結果によると、高齢者は家が古くなったり傷んだりしているという不満はあるものの、90%は今の住居環境に満足しているようです。
引用元:第1章 第2節 6 高齢者の生活環境(1)高齢者の住まい|平成26年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府
全ての高齢者が今の住居環境に満足しているわけではありません。
しかし、親が高齢である場合は、今の住居環境には不満に思っていない傾向が強いことは理解しておきたいところです。
②終活するように言われているようで不快に感じる
子どもに片付けるよう言われると、終活するように言われていると親は思って不快に感じることも考えられます。まだ元気なのに片付けるように言われると、特に強く思うかもしれません。
もちろん、子どもから片付けるように言われて納得してくれる親もいるでしょう。
しかし、親が「自分はまだ健康で、今住んでいる家で不満なく過ごせているのに子どもから家を片付けるように言われるのは納得できない」と思う場合もあることは理解しておきたいところです。
1-2. 親を説得できても自力で片付けられない
2つ目の問題は、親を説得できても自力で片付けられないことです。
親が60歳以上の高齢であると以下のような人が多い傾向にあるため、自力で片付けるのが難しいくらい家にものが溢れていることがあります。
・ものを捨てない価値観が強い
・ものの必要/不要の判断力が鈍くなる
・ものを片付ける体力が衰える
上記については「2-1. 【ステップ1】親がものを片付けられない原因を理解する」で詳しく説明しますが、高齢の親世代のものに対する価値観と片付ける力は、人によって該当しないこともありますが子ども世代とは異なる傾向があるのです。
このため、「家の片付けくらい自力で行える」と思って始めようとすると予想以上にものが多く片付けが進まなかったり、必要なものと不要なものを分ける作業で親と揉めたりして、自力では片付けを終えられないといった問題が生じ得ます。
親の家を片付けることに親を説得できても、親世代が住んでいる家と子ども世代が住んでいる家とでは状況が異なり、自力では片付けられない場合もあることは知っておく必要があるでしょう。
2. 親の家をうまく片付けるまでの3ステップ
では、どのようにしたら親の家を片付けられるのでしょうか。
前述した問題を踏まえると、親の家は次の3ステップで片付けていくとうまく進む可能性が高まります。
順番に見ていきましょう。
2-1. 【ステップ1】親がものを片付けられない根本的な原因を探す
まずは、親がものを片付けられない根本的な原因を探しましょう。
親の家にものが多過ぎて片付けられていない状況には、原因が必ずあります。
親がものを片付けられない原因を探さないまま片付けの説得をすると、「1-1. 親が家の片付けに納得してくれない」で説明したように親に不快感を与えてしまう恐れがあります。親に不快感を与えてしまえば、片付けは進められません。
人によって異なりますが、親がものを片付けられない原因として考えられるのは、主に次の4つです。
1. ものを捨てない価値観が根付いている
2. ものに対する必要/不要の判断力が低下している
3. 片付ける体力が衰えている
4. セルフネグレクトになっている
2-1-1. ものを捨てない価値観が根付いている
考えられる1つ目の原因は、ものを捨てない価値観が親に根付いていることです。その理由としては、以下2つが考えられます。
①「もの不足」を経験している
②欲しいものが買える時代も経験している
①「もの不足」を経験している
今親が65歳以上であると戦後やオイルショックの後に起こった「もの不足」を経験しています。
このもの不足の経験から、今ものが買えるのは幸せなことであるため、ものを買ったら「もったいない」と捨てずに残しておこうとするのです。
②欲しいものが買える時代も経験している
65歳以上の親世代は高度経済成長期を生きているため、欲しいものが買える時代も経験しています。
この豊かな時代に買ったものには思い入れがあり残しておく傾向にもあるのです。
親がものを片付けられない一因に、こうした親世代のものの扱いに対する価値観が関わっていることもあります。
2-1-2. ものに対する必要/不要の判断力が低下している
親の、ものに対する必要/不要の判断力が低下していることも片付けられない一因です。
判断力が低下するのは、加齢に伴って「認知機能」が衰えるからです。
以下のような「理解・判断・論理」といった知的機能のことを認知機能といいますが、この認知機能が衰えるとものが多いという現状を認識しにくくなり、その状況をどうすれば良いかの解決法を考えられなくなったりするのです。
・現状を認識する
・物事を学習する
・物事を記憶する
・物事の解決方法を考える
判断力を含めた認知機能の低下は60歳を過ぎると起こることを、高齢期の健康情報を発信する公益財団法人 長寿科学振興財団は「認知機能の老化」で言及しています。
認知機能の衰え具合は人によって異なりますが、親が高齢である場合はものの必要性を判断する力の低下が、ものを片付けられない一因となっているかもしれません。
2-1-3. 片付ける体力が衰えている
親の片付ける体力が衰えていることも、ものを片付けられない一因です。
片付ける体力についても、加齢が原因の1つです。
人間は年を重ねると筋肉量が減っていきます。特に高齢になると、筋肉を構成している筋繊維が減ったり、萎縮したりすることで筋肉量が減少することを公益財団法人 長寿科学振興財団は「運動機能の老化」で言及しています。
筋肉は体を動かす役割を担っているため、その筋肉の量が減ってしまえば体を動かす力は低下していきます。
体を動かさなければできない片付けは、筋肉量が減って体力が衰えている高齢の親にとっては億劫なことです。
片付けたいという意志があっても、体力の衰えで疲れやすくなっていることが片付けられない一因となっていることも考えられます。
2-1-4. セルフネグレクトになっている
「セルフネグレクト」に親が陥っていることも、ものを片付けられない一因といえます。
セルフネグレクトというのは自分に関心がなくなり、以下のような状態に陥ることです。
・部屋の片付けや掃除をしない
・お風呂に入らない
・食事を十分に摂らない
・体に不調があっても受診しない
セルフネグレクトになると日常生活のあらゆることに無関心になるため、片付けや掃除もやらなくなります。
セルフネグレクトは配偶者を亡くして1人になり、周囲の人とうまく関われなくなった高齢者が陥りやすいといわれています。
セルフネグレクトに陥った高齢者が住む家の環境については、内閣府の平成 22 年度内閣府経済社会総合研究所委託事業の報告書『セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査―幸福度の視点から』で公表されています。
セルフネグレクトに陥った高齢者が住む家の衛生状態を①家の外回り、②家の中の2箇所において以下を基準に5段階評価したところ、両者とも衛生状態が悪い5と判定された事例が最も多かったようです。
清潔度 |
①家の外回りの状態 |
②家の中の状態 |
5 (最も悪い) |
ほとんどメンテナンスされていない、みすぼらしい、ゴミやがらくたがある |
とても汚い、 洗っていない皿、ごみ、糞がある |
1 (最も良い) |
こぎれい、状態が良く保たれている、ゴミやがらくたなどがない |
清潔で、 不衛生な状態の痕跡がない |
※『セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査―幸福度の視点から』3. 報告事例(3)住居の状態|内閣府をもとに作表
セルフネグレクトに陥った高齢者の住居全てがこの調査結果と同じ衛生状態とは限りません。
しかし、親がものを片付けられない一因には、1人になってセルフネグレクトになっていることも考えられるでしょう。
2-2. 【ステップ2】親に片付けの了承を得る
親がものを片付けられない原因を探すことができたら、親に片付けの了承を得ましょう。
ただし、「1-1. 親が家の片付けに納得してくれない」で説明したように、親が今住んでいる家の環境に満足しているのであれば片付ける必要はないと思っているため、単に片付けをして良いかを聞くだけでは了承は得られません。
どうすれば良いかというと、次の3つを伝えると親が片付けを了承してくれる可能性が高まります。
1. 安全な環境で暮らせる
2. 必要なものを探しやすくなる
3. 後でものを処分するときの負担を減らせる
2-2-1. 伝えると良いこと①安全な環境で暮らせる
安全な環境で暮らせることを伝えましょう。
親の家がもので溢れている場合、そのものが原因で次のような事故が起こる恐れがあります。
・床に置いてあるものにつまずいて転倒する
→ 転倒状況によっては、ケガや骨折など重傷を負う恐れもある
・棚やテーブルなどに置いてあるものが落下する
→ 状況によっては、ケガや負傷など重傷を負う恐れもある
実際、高齢者は家で事故に遭いやすいです。このことは、内閣府が『平成26年版高齢社会白書(全体版)』で公表しています。
引用元:第1章 第2節 6 高齢者の生活環境|平成26年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府イ 高齢者は家庭内事故が多く、最も多い事故時の場所は「居室」
高齢者の場合、何気ない転倒や軽いケガでも入院や寝たきりにつながることがあります。
これまで元気であったのに家にものが多いことで事故に遭ってしまい、思うように体が動かない状態になるのは、親は避けたいことのはずです。
上記の事例を示しながら、家を片付ければ安全な環境でこれからも元気に過ごせることを伝えましょう。
2-2-2. 伝えると良いこと②必要なものを探しやすくなる
必要なものを探しやすくなることを伝えましょう。
家にものが多く散らかっていると、ものの置き場所が分かりにくくなります。このような状態だと、ある特定のものが必要になったときには探す時間がかかり、必要なときにすぐに見つけられません。
ものが置いてある場所を親が覚えていれば別ですが、そうでない場合は探しものをなかなか見つけられないのは親にとってもストレスといえます。探しものを見つけるのに家中をあちこち回るのも、体力が衰えている親世代にとっては負担のかかることです。
家の片付けをすれば、探しものが見つからないといった事態を避けられますし、体力を消耗することもありません。
必要なものを必要なときに見つけ、すぐに使えるようになることも伝えると良いでしょう。
2-2-3. 伝えると良いこと③後でものを処分するときの負担を減らせる
後でものを処分するときの負担を減らせることも伝えましょう。
ものは、まだ使える状態であれば売れば多少なりとも現金化できたり、売れなくても使ってくれる人に譲ればお金はかかりませんが、これらができないと処分しなければなりません。自治体が指定するゴミ処分方法に従えば単に捨てるだけで問題ないものもありますが、ものによっては処分費用が発生します。
親が高齢である場合、「2-1. 【ステップ1】親がものを片付けられない根本的な原因を探す」で説明したようにものを片付けられない傾向にあるため、この状態が続けば処分するのに費用が発生するものを溜めこんでしまうことも考えられます。
もし、後で不要になり処分すると決めたとき、その処分をするのも、費用が発生する場合はその費用を負担するのも親となるでしょう。
せっかく今元気で暮らせているのに、家にものが多いことで体力面と費用面で負担がかかってしまっては、親にとって身体的・精神的にストレスとなるのではないでしょうか。
今から片付けをしておけば、こうした処分に負担のかかるものが溜まっていくことを回避でき、体力面と費用面で負担がありません。
今家を片付ければ、後でものを処分するときに体力面と費用面で負担がかからないことも伝えましょう。
2-3. 【ステップ3】自力で片付けられるかを判断する
親に家の片付けを説得できたら、自力で片付けられるかを判断しましょう。
親の家がどのような状態かをざっと見て判断することも間違いではありません。
しかし、ものが多い家は見えないところにもものが隠れていることもあるため、見かけで片付けられるかを判断すると、実際のものの量と大きな差を感じるかもしれません。そうなると、片付けに膨大な時間と体力を費やすことになるため注意が必要です。
親の家を自力で片付けられるかどうかは、次の4つの基準を満たしているかどうかで判断するのがおすすめです。
1. 親の家で片付けられていない部屋は1~3つ程度
2. 兄弟姉妹や配偶者など片付けを手伝ってくれる人を確保できる
3. 定期的に親の家へ行ける距離に住んでいる
4. 親の家を片付けるための時間を確保できる
2-3-1. 判断基準①親の家で片付けられていない部屋は1~3つ程度
1つ目の判断基準は、親の家で片付けられていない部屋は1~3つ程度であることです。
片付いていないのが1~3部屋であれば、自分と親の2~3人で協力すれば大きな負担をかけることなく片付けるのは不可能ではありません。
ただし、部屋が「ゴミ屋敷」に近い状態であれば、自力で片付けるのは避けた方が良いです。
ゴミ屋敷というのは、部屋の大半がゴミで埋められている状態のことです。
親の家がゴミ屋敷に近い状態であると、片付ける部屋の数が少なくてもゴミを処理するだけで膨大な時間と体力を費やすことになり、片付けが進みません。
片付いていなくても、部屋でなんとか生活できていたり、使えたりする状態である場合は、1~3部屋であれば自力で片付けられるでしょう。
2-3-2. 判断基準②兄弟姉妹や配偶者など片付けを手伝ってくれる人を確保できる
2つ目の判断基準は、兄弟姉妹や配偶者など片付けを手伝ってくれる人を確保できることです。
親に片付けを説得できても、その親自身が片付ける体力がなかったり、片付けの時間を確保できなかったりすれば、片付けるのは自分だけになります。
部屋の状態や片付ける部屋数によっては自分1人で対応するのも不可能ではありませんが、ものが多い家の場合は1人で片付けようとすると片付けがなかなか進みません。
片付けを手伝ってくれる人がいれば家が早く片付きますし、親に安全な生活環境を早く提供できるようになります。
兄弟姉妹や配偶者といった人に片付けを手伝ってくれる人を確保できるのであれば、自力で片付けると良いでしょう。
2-3-3. 判断基準③定期的に親の家へ行ける距離に住んでいる
3つ目の判断基準は、定期的に親の家へ行ける距離に住んでいることです。
片付けが必要な部屋の状況次第では、1日で片付けが終わらず数日かかることも考えられます。
親の家が今住んでいる家と距離が近く、定期的に行ける距離であれば大きな負担になりにくいですが、離れた距離に住んでいる場合は移動と片付けの両方に体力を費やすことになりますし、精神的な負担も大きくなる恐れがあります。
・週末に通える
・片道1時間以内で行くことができる
といった状況であれば自力で片付け、そうでない場合は避けるのがおすすめです。
2-3-4. 判断基準④親の家を片付けるための時間を確保できる
4つ目の判断基準は、親の家を片付けるための時間を確保できることです。
家にものが多いと、数十分では片付けは終わりません。
詳しくは「3. 【親の家を自力で片付ける場合】失敗しないおすすめの片付け手順」で説明しますが、片付けとはいっても次のような複数の作業が発生するため、数時間といったまとまった時間が必要です。
・ものの必要性を決める仕分けをする
・残すものの収納と整理整頓をする
・不用品を処分する
・掃除をする
時間を小分けにして少しずつ片付けるのも悪いことではありませんが、そうすると親の家へ頻繁に行かなければならなくなって身体的・精神的に負担がかかりますし、片付けもなかなか進みません。
片付けのためのまとまった時間を1日で確保できれば、親の家に行く頻度が減り、片付けもその時間内で集中して行えるので早く片付く可能性が高まります。
親の家へ数日行くだけで片付けを終えられるようにするためにも、まとまった時間を確保できるかを考えることは重要です。
◎親の家を自力で片付けられると判断したと判断した方 「3. 【親の家を自力で片付ける場合】失敗しないおすすめの片付け手順」へ ◎親の家を自力で片付けられないと判断した方 |
3. 【親の家を自力で片付ける場合】失敗しないおすすめの片付け手順
親の家を自力で片付けられると判断した方は、以下の手順を踏んで片付けを進めていくのがおすすめです。
この手順で片付けを進めていけば、親と揉めず、失敗を回避できる可能性が高いです。順番に説明していきましょう。
3-1. 片付けの計画を立てる
まずは、片付けの計画を立てましょう。片付け前に計画を立てれば、片付け日ごとにやるべき作業が可視化されるため、片付けがスムーズに進みます。
片付けの計画は、一日一部屋片付けるように立てるのがおすすめです。
片付ける部屋が複数ある場合、早く片付けたいあまりに一気に進めようと計画すると、予想以上に片付けに時間を要して終わらなかった場合は達成感がありませんし、その後の片付けのモチベーションも上がりにくくなります。
一日一部屋片付けるように小さく計画を立てれば達成もしやすく、片付けのモチベーションも上がりやすいです。
親にとってもメリットがあります。ものの必要性の判断力と片付ける体力が衰えている高齢の親にとって、一日一部屋少しずつ片付けていくことは大きな負担になりにくいといえるからです。
「〇月×日はリビング、〇月△日は寝室」といったように一日一部屋ずつ片付ける計画を立ててみましょう。
一日一部屋片付けられそうにない場合は、何日かに分けて片付ける計画を立てることをおすすめします。このように計画を立てるときは、その日に終わらせたい片付けの内容(目標)を決めておきましょう。
片付けのやる気を出したり、親に負担をかけないようにしたりするためにも、細かく区切って片付ける計画を立てることは重要です。
3-2. ものの仕分け方法を決める
次に、ものの仕分け方法を決めましょう。
親の家をすっきり片付けるには、本当に必要なものだけを残し、それ以外のものは処分することが重要です。
どのものが必要であるか、あるいは不要であるかは、実際の片付けで判断することもできます。
しかし、「2-1-1. ものを捨てない価値観が根付いている」でも説明したように高齢の親世代はものを捨てずに残す価値観が強いため、その場で判断しようとすると親子で価値観の違いから揉めて片付けに時間がかかる恐れがあります。大きな喧嘩に発展してしまったら、片付け自体ができなくなるかもしれません。
ものの仕分け方法は、以下のように決めるのがおすすめです。
分類 |
仕分けの基準(目安) |
仕分けの理由 |
必要 |
・今使っている ・近いうちに必ず使う ・今の生活になくてはならない ・思い入れが強い |
今使っているもの/必ず使うものは、親にとってないと困るものである |
不要 |
・明らかに劣化していて使えない ・1年以上使っていない ・最後に使ったのがいつか覚えていない |
・明らかに劣化しているものはゴミと判断できる ・1年以上使っていなかったり、最後に使った日を覚えていなかったりするものは、今後も使わない可能性が高い |
保留 |
・判断に迷う ・1年以内に使う機会があるかもしれない |
どうするか判断する機会を親に与えられる |
上記は例のため、絶対にこの通りにする必要はありません。
しかし、上記のように仕分ければ親に精神的な負担をかけにくく、本当に必要なものだけが残り、家にものが溢れている状態を改善することができます。
ものの仕分け方法の決め方に悩む方は、上記を参考にして決めてみてください。
3-3. 不用品の処分方法を決める
次に、不用品の処分方法を決めましょう。
ものが多い家の場合、不要と判断したものが多く出てくる恐れがあります。
親の家を片付けた後にこうした不用品をどう処分するか決めるのも悪いことではありません。
しかし、不用品が大量にある場合は、処分方法を決めて実際に処分するまで家に置いておかねばならないため、片付けが終わっても家にものが多い状態になってしまいます。
片付け前に不用品の処分方法を決めておけば、片付け後にその方法に従って処分していけば良いので早く家をすっきりさせることができ、親にも安全な生活環境を提供できます。
不用品の処分方法としておすすめなのは、次の通りです。
ものの状態 |
処分方法 |
使えない |
親の家がある地域のゴミ処分方法に従って処分する |
使える |
①フリーマーケットアプリで売る/買い取り業者に依頼して買い取ってもらう ②身近な人に譲る ③売ったり譲ったりできなければ、親の家がある地域のゴミ処分方法に従って処分する |
使えない状態であれば処分しましょう。
使える状態であれば「売る/買い取ってもらう→譲る→処分する」の順で片付けていくと良いです。ものによっては出品したり、買取依頼すれば売れることもあるため、そうなれば少額であっても現金化できます。
売れなかったり買い取ってもらえなかったりしたら、親戚など身近な人に譲りましょう。ものによっては処分費用が発生するので、使ってくれる人にあげた方が費用面で負担がありません。
売れず、譲ることもできなかったら処分しましょう。
3-4. 残すものの収納方法を決める
残すものの収納方法を決めましょう。
残すと決めたものの収納方法も片付け前に決めるのは、片付け後、親の家にものが散らかるのを防いで必要なものを必要なときに使えるようにし、生活しやすい環境を提供するためです。
残すものの収納方法は親の使いやすさを考慮して考えるのが良いですが、おすすめなのはものの種類ごとに収納グッズにしまうことです。
【ものの種類分けの例】
●貴重品類
●食器類
・毎日使う食器類
・来客用の食器類
●調理器具類
・毎日使う調理器具類
・頻度は少ないが使う調理器具類
●洗剤類
●清掃道具類
上記のように種類ごとに収納グッズにしまうと、以下のようなメリットを得られます。
・収納する場所が決まるため散らかるのを防げる ・ものの出し入れがしやすくなる |
収納グッズは、100円ショップやホームセンターで購入できる収納ボックスや収納ケースといったものです。
収納グッズは残すものの大きさに応じて揃えていくのが良いですが、種類ごとに収納グッズのデザインを揃えると良いでしょう。統一感が出てすっきりとした印象が生まれます。
3-5. 片付けをする
これまで決めてきた片付けの計画やものの仕分け方法などに従って、実際に片付けをしていきますが、親の家の場合は片付けにおいておすすめの部屋の順番があります。その順番というのが、次の通りです。
片付ける部屋の順番 |
その順番で片付けるべき理由 |
1. 自分の部屋 |
親の承諾なしに片付けられる (親が使っていたり、ものを置いたりしていない場合) |
2. キッチンと洗面所・浴室 |
ものの必要性の判断に迷いにくい |
3. リビングと階段 |
家の事故が発生しやすい |
4. 収納棚や収納ケースがある場所 |
ものの必要性の判断に時間を要する |
親の家を片付けるときはどこから手を付ければ良いか、また場所ごとにどのように片付けていけば良いかの詳しい説明は「実家の片付け どこから」で紹介しています。こちらの記事をご参考の上、片付けに取り組んでみてください。
3-6. 掃除をする
片付けが終わったら、掃除をしましょう。
親の家にものが多いと、片付けているときにそのものが原因で掃除できなかった場所の汚れが見つかることもあります。片付けが終わったからといって終わりにするのではなく、親に衛生的な生活環境を提供するためにも片付け後の掃除は重要です。
部屋は、奥・上から掃除していくのがおすすめです。
部屋の手前・床→奥・上の順で掃除していくと、掃除した部分を汚すことになります。汚してしまった部分は再び掃除しなければならないため、二度手間です。
効率良く掃除して親の家を早くキレイにするために、部屋の奥・上から掃除していくのが良いのです。
片付け後は場所の順番に気を付けながら掃除をしていきましょう。
4. 【親の家を自力で片付けられない場合】業者に依頼する
親の家を自力で片付けられない場合は、家の片付けを対応している業者に依頼するのがおすすめです。
対応内容は業者によって異なりますが、業者に依頼すると以下のようなメリットを得られます。
・部屋の数によっては数時間で片付けに対応し、親の家が早くキレイに片付く ・片付けの依頼で掃除とゴミの処分、不要品の買い取り、リサイクル回収まで行い、依頼者の負担が少ない |
ただ、家の片付けに対応している業者は多く存在します。対応内容はもちろん、作業の質や費用で大きな差が生じることもあるため、探して依頼するときは注意しなければなりません。
ではどのように業者を探して依頼すれば失敗がないかというと、次のポイントを踏まえていくのがおすすめです。
1. 生前整理業者を探す
2. 複数の生前整理業者から見積もりを作ってもらう
3. 事前説明などの対応が丁寧な業者に依頼する
4-1. 生前整理業者を探す
親の家の片付けを依頼できる業者は多くありますが、その中でも「生前整理業者」に依頼するのがおすすめです。
生前整理業者というのは、生きているうちに身の回りのものを整理する「生前整理」を専門に対応してくれる業者です。
「なぜ、親の家の片付けを依頼する業者として生前整理業者が良いの?」と思われるかもしれませんが、その理由は生前整理業者の対応範囲にあります。
実際の対応内容は生前整理業者によって異なりますが、主に以下のような対応をしてくれるのが一般的です。
・ものの「必要」「不要」の仕分け
・不要品の買い取り/回収/処分
・貴重品の捜索
・家の簡易清掃(無料)
・ハウスクリーニング
・消臭作業
上記を見てお分かりいただけるように、家にあるものの仕分けから掃除まで、片付けに関するあらゆる作業に対応してくれるのが生前整理業者になります。このため、親の家の片付けには生前整理業者を探すのが良いのです。
みんなの遺品整理は、生前整理業者を含めた700社以上の業者と提携しています。
ご紹介しているのは、次のような厳しい審査をパスし、良心的な価格ながら高品質な作業を提供する業者のため安心して探すことができ、ご依頼もしていただけます。
・法律に基づいて運営している ・過去にクレームがない ・追加料金が発生しない ・電話対応や接客の質が高い |
ただ、初めて生前整理業者を探す方もいるかもしれません。
そんな方はどの業者が良いのか、どのように探せばよいのか分からないことも多くあると思いますが、みんなの遺品整理では業者への依頼に関するあらゆるお悩みのご相談を受け付けております。
ご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問合せください。
4-2. 複数の生前整理業者から見積もりを作ってもらう
生前整理業者を探せたら、複数の業者に見積もりを作ってもらいましょう。
複数の業者に見積もりを作ってもらうことで相場が分かったり、作業内容に対する価格差を比較できたりします。比較したとき同じような作業内容なのに価格差があれば、
・どちらかが金額を多く上乗せしているかもしれない
・安過ぎるのは作業の質に問題があるかもしれない
といったことが分かることもあります。
良いと思う生前整理業者が1社見つかったら、その業者だけに見積もり依頼するのも間違いではありません。
しかし、1社だけへの見積もり依頼は複数の業者に見積もり依頼しないと見えてこない上記が分からないため、相場より多く料金を払い過ぎてしまったり、満足の行く対応をしてもらえなかったりする恐れがあるのは注意したいところです。
生前整理業者の料金相場は、以下の通りです。
あくまで相場で、実際の料金は依頼内容などによって異なりますが、この相場を基準にすれば悪質な業者にあたりにくくなります。
良いと思った生前整理業者は複数ピックアップして見積もり依頼を依頼し、上記の相場を見ながら料金を比較してみましょう。
みんなの遺品整理では、お問合せいただければ3社に一括見積ができます。1社ずつ見積もり依頼をしなくて済むので、ぜひご利用ください。
4-3. 事前説明などの対応が丁寧な業者に依頼する
実際に依頼する生前整理業者は、事前説明などの対応が丁寧な業者を選びましょう。
料金に納得のいく生前整理業者であっても、家の片付けをどのように行ってくれるかは依頼してみないと分かりません。
そこで、依頼する業者選びの材料として使えるのが業者の接客対応になります。
事前説明など接客対応が行き届いている業者は、全ての業者に該当するわけではありませんが、家の片付け作業においても質が良い可能性が高いです。たとえば、以下のように接客対応する業者が該当します。
・依頼者が分からないことに対して納得のいくまで説明してくれる
・作業内容に対する金額について細かく説明してくれる
・作業時に生じるかもしれない問題点を説明してくれる
今親と一緒に住んでいないとはいえ、大切な親が住む家の片付けは接客や片付け作業などあらゆる対応が行き届いている業者にお願いした方が、親に安全で生活しやすい環境を提供できます。
複数の業者に見積もり依頼をしたけれど、どの業者に依頼するか迷う場合はその業者の接客対応で判断すると良いでしょう。
5. 親の家を片付けるときに心がけるべき5つのこと
最後に、親の家を片付けるときに心がけるべきことを説明します。
6-1. なるべく早く取り掛かる
1つ目は、親の家を自力で片付ける場合も、業者に依頼する場合もなるべく早く取り掛かることです。
親に限らず誰でもいえることですが、今は元気でもいつ健康状態が変わるかは分かりません。親がさらに高齢になると、ものの必要性に関する判断力と体力がますます鈍くなることも考えられます。
親の家にものが多いことは気になるけれど、緊急性はないため先延ばしにしていると、自分や親が健康ではなくなったとき、片付けを始めようとしてもスムーズに進めることは難しくなるでしょう。自力で片付けすることを決めていたとしても、健康状態によってできなくなった場合は業者を一から探さなければなりません。
親の家の片付けに緊急性がなくても、親も子どもも元気なうちになるべく早く取り掛かることをおすすめします。
6-2. 親の意向を尊重する
2つ目は、親の意向を尊重することです。
親が高齢であるとものを捨てない価値観が強いことを説明しました。
このため、「今使っているものは必要で、使っていないものは不要」という価値観を持つ子どもの判断で親の家にあるものを仕分けてしまうと、ものを大切に残す価値観が根付いている親と揉める恐れがあります。子どもは一緒に住んでいないわけですから、なおさら親は不快に思うでしょう。
子どもが主導権を握らないと親の家は片付けが進まないと思われるかもしれませんが、片付けるのは自分のものではなく親のもののため、親の意向を尊重しながら取り組むことは重要です。
親の家にあるものは子どもが勝手に仕分けることはせず、親に確認をしながら、意向があれば尊重して片付けるようにしましょう。
6-3. 親に命令するような強い口調は避ける
3つ目は、親に命令するような強い口調は避けることです。
親は一番身近な存在のため、会話するときもつい強い口調になりがちです。片付けのときであれば「使っていないのであれば捨てなよ!」と命令のような口調になることも考えられます。
しかし、片付けるのは親が住む家です。
一緒に住んでいない子どもから命令のような口調で「捨てなよ!」や「残すの?捨てるの?どっちなの?」と迫ると親は不快に感じて喧嘩になる恐れがあります。喧嘩がひどくなれば、これ以上親の片付けを進めることは難しくなるでしょう。
そうならないようにするためには、親に提案しながら片付けることが重要です。
・これを片付ければケガをしなくて済むから、処分しない?
・もう使わないのであれば、捨てたらどうかな?
・いつか使うかもしれないのであれば、別の場所にしまっておこう
といったような提案であれば命令されているように聞こえませんし、親も片付けに前向きになってくれる可能性が高まります。
親に家の片付けに前向きになってもらうためにも、命令のような強い口調は避け、片付けさせたいのであれば提案しながら進めていきましょう。
6-4. 親が安全に心地よく暮らすための片付けであることを忘れない
4つ目は、親が安全に心地よく暮らすための片付けであることを忘れないことです。
「家を片付ける」というと、家に溢れているものを必要・不要で仕分けて、いらないものは処分してキレイな状態にすることかもしれません。
しかし、親の家の片付けは自分の家の片付けではありません。親が住んでいる家の片付けです。
自分がキレイな状態だと思う家にするために片付けても、片付け方法によっては親にとっては安全ではなく、生活しにくい家になるかもしれません。
・ものを入れた収納グッズは高いところに置かない
・親が頻繁に使うものは手が届きやすく、見つかりやすい場所に置く
といったように、親にとって安全で生活しやすい環境に整えることが親の家の片付けゴールであることを念頭に置いて片付けに取り組むことが重要です。
特に残すものは、どの場所にあったら使いやすいかを親に確認しながら収納していくと良いでしょう。
まとめ
親の家を片付けるのは、以下のような問題が生じ得るため簡単なことではありません。
しかし、上記の問題を理解した上で、次のステップに従っていくと親と揉めず、大きな失敗もなく親の家を片付けられる可能性があります。
親の家を自力で片付けられる場合は、以下のステップを踏むとスムーズに片付けが進みます。
親の家を自力で片付けられない場合は業者に依頼するのが良く、その際は以下3つのポイントを押さえることが重要です。
1. 生前整理業者を探す
2. 複数の生前整理業者から見積もりを作ってもらう
3. 事前説明などの対応が丁寧な業者に依頼する
親の家を片付けるときは、以下4つのことを心がけましょう。
親の家の片付けは大変なこともあるかもしれませんが、この記事が親と揉めることなく片付ける方法のヒントとなれば幸いです。
【監修者:一般財団法人遺品整理士認定協会】
遺品整理業界の健全化を目的に2011年設立。
遺品整理士養成講座を運営し、認定試験・セミナー・現場研修などを実施している。
法令順守をしている30,000名を超える会員、1,000社を超える法人会員が加盟。法規制を守り、遺品整理業務を真摯に行っている企業の優良認定、消費者保護のための遺品整理サービスガイドラインの制定もおこなっている。
【執筆者:みんなの遺品整理事務局】
東証プライム市場上場企業の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。
はじめての遺品整理でも、専門知識が豊富な相談員が中立な立場で、無料アドバイスをさせていただきます。大切な人の生きた証を残しつつ、気持ちよく次の世代へ資産や遺品を引き継ぐために、私たちは、お客様一人一人に最適なお手伝いができる情報提供・業者のご提案を致します。