親族から相続した不動産など、所有している空き家の処理に困っていませんか?どう対処していいかわからないまま、空き家のまま放置していると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
ここでは、空き家を放置するリスクや、空き家の処分方法、売却時の注意点や節税対策について紹介します。空き家を所有している人はぜひ最後まで目を通してみてください。
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空き家を放置してはいけない理由とは
空き家の処理が面倒だからとそのまま放置していると、実はさまざまなリスクがあります。まずは空き家をそのままにしておくことでどんなことが起こり得るのかを把握するところから始めましょう。
【空き家を放置してはいけない理由】 ・空き家でも維持費がかかる ・建物が傷みやすくなる ・被災リスクがある ・資産価値が下がり続ける ・近隣からクレームが発生することも ・行政から指導・勧告を受ける場合もある |
それぞれについて、くわしく解説しましょう。
空き家でも維持費がかかる
誰も住んでいなくても、建物を所有している限りは固定資産税といった税金は払わなければなりません。そればかりか、その空き家が今にも倒壊しそうな危険な建物だった場合、固定資産税の軽減措置などが受けられず、6倍相当の固定資産税を支払わなければならなくなります。空き家は放置しているとどんどん古くなり、こうした危険な建物となる可能性も高いので、注意が必要です。
このほか電気や水道は、使っていなくても契約していれば基本料金は必要です。このように空き家を持っているだけでも、継続的に支払わなければならない費用が発生することになります。
建物が傷みやすくなる
人が住んでいないと建物の劣化は進みやすいのです。例えば、梅雨の時期など誰も住んでいない空き家では換気などがされないため、室内に湿気が溜まりカビや腐食の原因となります。特に木造住宅の場合、換気ができないと劣化スピードはとても早いです。
このほか、使われていない器具などは固まったり癒着を起こして動かなくなったり、小動物の住処となってしまうなど、建物が傷む原因が起こりやすくなるでしょう。
被災リスクがある
実は日本で起こる火事の原因の第1位は放火によるものです(放火の疑いも含む)。空き家は燃えやすい枯れた草や可燃ごみなどが散乱していることが多く、放火の標的になりやすいことが挙げられます。このほかにも、犯罪の巣窟や犯罪者の隠れ家などとして利用されるケースも少なくありません。空き家を放置することはこうした治安面でのリスクがあると言えるでしょう。
資産価値が下がり続ける
空き家になると、劣化が進むことからも資産価値が大幅に下がっていきます。そのため、早いうちに対処しておかなければいざ空き家を売ろうとしたときに建物に価値がつかず、売却できないケースや買い手が現れない可能性があります。
このようになった場合は解体し更地にする方法がありますが、解体にも費用がかかるため結果的に損をすることも十分にあり得るでしょう。
近隣からクレームが発生することも
老朽化が進んだ空き家は、いつ倒壊するかわからず、近隣住民に不安感を与えることになります。日本は地震や台風大国ということもあり、万が一災害によって空き家が倒壊したような場合は、近隣住民に被害を与えトラブルに発展する可能性があります。
このほか、きちんと管理がされていない空き家の場合、害虫や害獣が住み着くリスクもあります。空き家を放置すると、このように近隣の住民に迷惑をかけるリスクがあることも理解しておきましょう。
行政から指導・勧告を受ける場合もある
劣化が進み倒壊寸前の危険な空き家に関しては、行政から処分するように指導や勧告を受けることもあります。このような通告があるにも関わらず、放置し続けると「特定空き家」と認定され、固定資産税の軽減措置が受けられず、6倍相当の固定資産税を支払う義務が生じることになります。
さまざまなリスクが想定されるため、空き家は放置しない方がいいでしょう。
空き家を処分する方法
空き家を放置すると、多額の税金を支払わなければならない、また建物の劣化が進み資産価値が下がることで後に売却が難しくなってしまうなど、さまざまなリスクが予期されるでしょう。そこで、空き家を放置してしまわぬように、処分するための方法を紹介していきます。
売却する
空き家を処分するには、売却する方法が一般的でしょう。建物を残したまま売却するか、建物を解体し更地にして売却する方法の2通りが考えられます。
【建物を残したまま売却する】 メリット:解体費用がかからない デメリット:瑕疵担保費用が生じる可能性がある 【更地にして売却する】 メリット:買い手が見つかりやすい デメリット:解体費用がかかる、固定資産税が高くなる |
建物自体に見えない欠陥(瑕疵)があった場合、修繕費用を買い手に支払わなければならないケースがあります。立地条件が良い、もしくは建物自体に魅力があるような場合は、建物を残したまま売却してもいいでしょう。
一方更地にすると建物付きより買い手が見つかりやすいですが、仮に買い手がなかなか決まらなかった場合に、高い固定資産税を支払い続けなくてはなりません。空き家の劣化が進んでいる場合で、買い手が見つかりそうな条件であれば更地にしてから売却してもいいでしょう。解体費用の目安は木造住宅であれば3〜5万円/坪程度が相場です。
無償譲渡する
どうしても買い手が見つからない場合には、無償で寄付する方法もあります。空き家や土地は所有しているだけでも、税金などのコストがかかるため、早めに手放した方が懸命であるケースもあるのです。
国や自治体、一般企業や公益法人に寄付できますが、あまりにも老朽化が進んだ建物だった場合には寄付を拒否されるケースがあることも知っておきましょう。
有効活用する
このほかに、リノベーションして賃貸物件として運用したり、更地にして駐車場や太陽光発電として活用したりするなどの方法もあります。立地によっては有効な手段となり得ますが、実は賃貸は売却するよりもハードルが高いという一面もあります。
賃貸である以上物件の継続的な管理が必要となってくる上、そもそも賃貸物件として需要があるかどうかも重要なポイントになります。リノベーションや解体費用などを踏まえて、収益に結びつく見込みがあるかどうかをしっかり判断する必要があるでしょう。
空き家の売却で節税できる
空き家を売却する際は、売却利益に応じて税金の支払いが必要になります。ポイントを押さえておくことで、節税できることがあるため、空き家の売却に伴う税金について理解しておくといいでしょう。
空き家の特例
空き家の特例とは、ある条件を満たしている空き家に関しては売却利益が3,000万円以内であれば非課税となる特例です。この特例の対象となる物件は以下の条件を満たしている必要があります。
【空き家の特例が適用できる条件】 ・1981年5月31日以前に建てられた建物である ・一定の耐震性が認められること(耐震リフォームも可) ・相続から売却まで事業・貸付・居住の用途として使われていないこと ・売却代金が1億円以下であること |
空き家となっている建物がいつ建てられたのか、耐震性があるかどうか確認しましょう。古い建物の場合、耐震性のないことが多いですが、耐震リフォームをしていれば対象となります。節税効果と耐震リフォーム費用や諸条件を比較して、検討するようにしましょう。
取得費加算の特例
取得費加算の特例とは、ある条件を満たせば相続時に支払った相続税額の一部を、譲渡資産の取得費用として加算できる仕組みです。
通常不動産を売却すると、売却費用から取得費用を差し引いた金額に譲渡所得税が課税されます。しかし不動産を相続した場合には、取得費用がないために税金が高くなってしまいます。
この特例を使えば、相続時に支払った相続税を、取得費として差し引くことができるため譲渡所得税を軽減できるというわけです。
【取得費加算の特例の適用条件】 ・相続してから3年10ヶ月以内に売却すること |
空き家を処分する時の注意点
空き家を処分する際には、事前に必要な手続きや注意点があります。空き家をスムーズに売却できるよう、目を通しておきましょう。
相続した場合は名義変更が必要
相続した空き家は、相続していたとしても名義人は故人のままです。亡くなった人の名義のままでは不動産は売却できないため、必ず名義変更を行なっておくことを忘れないようにしましょう。
名義変更をしないまま放置すると、新たな相続人が発生したり、相続人の気が変わったりと状況が変化していくことがあり、名義変更が難航する可能性があります。
また現時点では相続の名義変更に関する期限はありませんが、2024年までに義務化されることになっているため、相続した不動産は早めに名義変更しておいた方がいいでしょう。
家を解体すると軽減措置がなくなる
空き家を売却する際、家を残すか更地にするのか悩むポイントでしょう。家を解体すると、解体費用がかかる以外にも固定資産税の軽減措置がなくなるため、支払う税金が高くなることも知っておきましょう。
そのため事前にしっかり調査し、建物が建っていても売れそうか、お金をかけて更地にする価値があるのかどうかしっかり見極める必要があるといえます。
空き家が売れない時の対処法
空き家を手放したい、早く売却したいのになかなか売れないといったケースも起こり得ます。早く買い手を見つけるためにどのような対策ができるのか紹介します。
値下げする
空き家が売れない大きな理由は、やはり価格面です。まずは2割程度値下げして、様子をみてみましょう。中古物件の売却費用に関する統計では、戸建ての場合は当初の売り出し価格よりも2割程度値下げした価格で売却される傾向があるようです。
首都圏であってもこのような傾向が見られるため、空き家の所在が地方である、または需要の少ないエリアである場合には大幅な値下げが必要となることを知っておきましょう。
不動産会社を変える
空き家が売れない場合は、不動産会社の変更を検討してもいいでしょう。会社によって得意としている分野があることがあります。空き家売却時には、古民家専門や、リフォーム工事ができる工務店系列の不動産会社などがおすすめです。
更地にしてから売る
建物自体が古い場合や、劣化した建物の場合なかなか買い手がつきません。このような場合は、建物を取り壊して更地にしてから売ることも対策の一つです。解体費用はかかってしまいますが、更地の方がこれから住宅を建てたい人や不動産会社の目にもとまりやすくなり、買い手がつきやすいのです。
買取で売却する
「買取」とは転売を目的とした不動産会社をターゲットにして売却する方法です。買取で購入した不動産会社は自分たちで取り壊し、転売することになります。この場合、取り壊しの費用と不動産会社が転売で得た利益を差し引いた金額が売却金額となるため、安値になってしまう点はデメリットです。しかし、ずっと買い手が現れず無駄な費用を払い続けるよりは得策と言えるでしょう。
空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、自治体が運営している不動産情報サイトで、不動産会社で取り扱えなかったような物件でも登録できます。そのため空き家バンクに登録しておくことで、ニッチなニーズを求めている買い手に巡り会える可能性があるでしょう。
不動産会社ほど期待はできませんが、何もしないで買い手を待ち続けるよりは可能性が高くなります。
まとめ
空き家は放置すると、近隣トラブルや経済的な損失、治安面のリスクなど注意しなければならないポイントが多いことがわかります。また放置し続けることで、今よりも税金が6倍に跳ね上がる可能性まであるのです。
こうした点からも空き家を放置するメリットはなく、できる限り早く対処した方がいいといえるでしょう。空き家を所有しているのであれば、早めに今後の方針を考え、行動をする方が安心です。
【監修者:一般財団法人遺品整理士認定協会】
遺品整理業界の健全化を目的に2011年設立。
遺品整理士養成講座を運営し、認定試験・セミナー・現場研修などを実施している。
法令順守をしている30,000名を超える会員、1,000社を超える法人会員が加盟。法規制を守り、遺品整理業務を真摯に行っている企業の優良認定、消費者保護のための遺品整理サービスガイドラインの制定もおこなっている。
【執筆者:みんなの遺品整理事務局】
東証プライム市場上場企業の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。
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