賃貸住宅で孤独死がおこった場合、ダメージを受けた部屋を現状回復するために、大家さんに金銭的な負担がかかることがあります。
この負担を和らげるため、孤独死保険に加入して孤独死現場の原状回復をする大家さんが増えています。
この記事では、孤独死保険の種類や保険金額、そして孤独死現場の原状回復を依頼できる業者について解説していきます。
- 孤独死保険とは?
- 孤独死保険の種類
- 孤独死保険の費用相場
- 家主型 孤独死保険のサービス比較
- 孤独死 大家型 比較ポイント
- 入居者型 孤独死保険のサービス比較
- 孤独死 入居者型 比較ポイント
- 部屋の原状回復を依頼できる業者とは
- ①特殊清掃業者の費用相場と作業内容
- ②遺品整理の費用相場と作業内容
- 安く信頼できる業者の選び方
- 相見積もりを取るなら「みんなの遺品整理」
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孤独死保険とは?
近年、孤独死が増加しており社会問題となっています。孤独死の現場が見つかるまでに時間がかかってしまう場合、現場の復旧に多額なお金がかります。
また、故人の部屋が大量のゴミや遺品であふれていた場合、遺品の整理・処分にも時間とお金がかかります。
孤独死の現場を復旧・整理にお金を払うのは基本的には遺族や相続人ですが、故人の家族と連絡がつかない場合には、大家さんが負担することになります。
孤独死保険とは、孤独死現場の原状回復が必要になった大家さんの金銭的損失を補償する保険です。
孤独死保険の種類
孤独死保険には、家主さんが保険料を支払い加入する家主型と、入居者側が加入する入居者型の2つがあります。
社会福祉法人日本少額短期保険協会の資料をもとに、それぞれの特徴や補償の内容をまとめました。以下で詳しく紹介していきます。
孤独死保険の種類と内容
家主型 | 入居者型 | |
---|---|---|
保険の種類 | 費用保険(単独保険) | 家財保険(特約) |
保険契約者・被保険者 | 家主・管理会社 | 入居者 |
補償の内容 | 入居者が亡くなった際に家主が被る損失を家主に補償 | 入居者が亡くなった際に入居者の相続人が被る損失を相続人に補償 |
補償に含まれる費用 | ①遺品整理費用 ②原状回復費用 ③家賃損失 |
①遺品整理 ②原状回復費用 |
保険料の設定 | 一戸室ごとに支払い、額は家賃総額から算出される | 入居時に加入し、家財保険の保険料に含まれる |
家主型の特徴
・家主が保険料を支払うことになってしまう ・家賃損失が補償に含まれる(事故物件化した場合の家賃損失を含む) |
入居者型の特徴
・入居者が支払うため、家主の負担はない ・家財保険のため、孤独死以外の災害も補償される ・入居者に相続人がいないと、家主に支払われない場合がある |
孤独死保険の種類、特徴は大まかに上記のようになっています。一方で、サービスによっては、上記の表に分類されないケースもあります。
また、サービスによって料金は異なってきます。以下では、保険で補償される費用について見てみましょう。
孤独死保険の費用相場
孤独死保険は、サービスの内容によって保険料が大きく異なります。いくつかの業者の例をあげて、孤独死保険の料金を見てみましょう。
家主型のサービスと料金
家主型のサービス料金は、家賃損失と原状回復費と遺品整理費用を含むサービスが多いです。原状回復費用に遺品整理費用を含む場合もあります。
3つの補償の補償される金額はおおよそ以下のようになります。
補償の内容 | 補償される金額 |
---|---|
家賃損失 | 事故から6~12ヵ月分程度 |
原状回復費用 | 100万円~300万円限度 |
遺品整理費用 | ~50万円 |
また、保険会社に支払う料金は、月額300円のように固定された料金の場合もありますが、一棟の部屋数と家賃によって変動する場合が多いです。
入居者型のサービスと料金
入居者型のサービスでは、家財保障と賠償責任補償だけの場合と、それに修理費用補償もあるパターンがあります。
特殊清掃や遺品整理の料金は、家財補償や修理費用補償に含まれています。以下では、おおよその相場を紹介します。
家財保障と賠償責任補償の場合 | |
---|---|
家財保障 | 400~500万円 |
賠償責任補償 | 10,000万円 |
家財保障・賠償責任補償・修理費用補償 の場合 | |
---|---|
家財保障 | 130~300万円 |
賠償責任補償 | 10,000万円 |
修理費用補償 | 100~200万円 |
保険会社に支払う料金は、2年単位で固定された金額の場合が多くあります。おおよその相場は、13,000~20,000円/2年程度です。
家主型 孤独死保険のサービス比較
孤独死保険の中でも、家主型のサービスをいくつかご紹介します。家主型は、家賃損失と原状回復費と遺品整理費用を含むものが多いのが特徴ですが、サービスによって詳細は異なります。
以下では、日本少額短期保険協会が作成した「少額短期保険各社商品一覧」に掲載されたサービスをもとに紹介しています。
無縁社会のお守り (アイアル少額短期保険株式会社) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
家賃補償保険金 (空室期間、値引き期間の家賃損失) |
1事故あたり200万円限度 (12か月分80%補償) |
原状回復費用保険金 (遺品整理費用、原状復旧費用など) |
1事故あたり100万円限度の実費 |
事故見舞金 (原状回復費用保険金が5万円未満の場合) |
5万円 |
保険料 | |
|
【無縁社会のお守り】の特徴
- 家賃に関わらず、戸室あたりの料金が定額で決まっている
- 家賃損失保険金は、空室期間と値引き期間の両方を含む
大家の味方 (株式会社あそしあ少額短期保険) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
修理費用保険金 | 300万円限度の実費 |
臨時費用保険金 (原因が犯罪被害の場合) |
50万円 |
保険料 | |
一棟3室、合計月額家賃20万 円の場合 10,150円/年 |
【大家の味方】の特徴
- 修理費以外に発生する費用に対して臨時費用保険金が支払われる
- 家賃損失補償は含まれていない
あんしん総合保険 (少額短期保険 ハウスガード 株式会社) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
家賃損失額 (火災、水災などの災害も含む) |
復旧期間内に生じた家賃の損失額 ※ただし、復旧期間は6か月が限度 |
修理費用保険金 | 100万限度 |
遺品整理費用保険金 | 50万限度 |
事故時諸費用保険金 (修理費用以外に発生する費用) |
30万限度 (修理費用保険金支払額の半分) |
保険料 | |
1棟6室、総月額家賃24万円 の場合 21,180円/年 |
【あんしん総合保険】の特徴
- 修理費用保険金とは別に遺品整理のための保険金が支払われる
- 入居者死亡の補償だけでなく、災害による家賃損失補償も含む
孤独死 大家型 比較ポイント
上記のように、同じ家主型であっても、補償の内容と金額が異なっています。大家型の保険を選ぶ場合の比較ポイントをご紹介します。
比較ポイント1:家賃補償や災害時の補償
家主型であっても、補償の内容と金額は保険によって異なっています。
たとえば、家賃補償についてみてみましょう。家賃補償の臨時費用保険金などで補償されている場合や、家賃補償の期間が半年の場合と1年の場合などの違いがあります。
また、部屋が自然災害の被害にあった場合も、家賃や部屋の復旧が補償される保険もあります。このように、補償される内容は保険会社ごとに大きく異なるので、補償する内容をよく見比べてみましょう。
比較ポイント2:保険料・加入の条件
もう一つ、保険会社によって大きく異なるのは保険料です。
「無縁社会のお守り」は、家賃に関わらず保険料が決まっていますが、大家型は基本的には部屋の数と家賃で保険料が異なります。
保険料の決め手となる部屋の数は、加入する際の条件でもあります。家賃と部屋の数を踏まえ保険料を割り出し、保険料とサービス内容が納得のいく保険を探してみましょう。
入居者型 孤独死保険のサービス比較
次に、入居者型のサービスをご紹介します。入居所型の特徴は、家財保険のため、孤独死以外の災害も補償されることです。
以下で紹介するサービスは、日本少額短期保険協会が作成した「少額短期保険各社商品一覧」の情報をもとに記載しています。
ライフアシスト家財保険 (ユーミーLA少額短期保険株式会社) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
家財補償 | 500万円 |
賠償責任補償 | 1,000万円 |
保険料 | |
保険料20,000円/2年 |
【ライフアシスト家財保険】の特徴
- 火災、水災、盗難など、家財に関する損害をほぼすべて補償
- 家主への損害賠償や日常生活における第三者に対する損害賠償も補償
- 残存物片付け費用、転居時引越費用、失火見舞費用も補償
賃貸くらし安心保険プラス (セーフティジャパン・リスクマネジメント株式会社) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
家財保険金 | 313万円 |
修理費用保険金 | 100万円賠償 |
責任保険金 | 1,000万円 |
保険料 | |
16,000円 / 2年 |
【賃貸くらし安心 保険プラス】の特徴
- 家財保険金:罹災時諸費用、残存物取片づけ費用、臨時宿泊費用、被災転居費用も保証
- 修理費用保険:凍結、窓ガラスの熱割れ、ドアロック交換費用、ピッ キング防止費用も補償
- 借家人賠償責任保険:不測かつ突発的な事故による特定箇所(洗面台・便器・浴槽・窓ガラス・照明機器・IHクッキングヒーター)に生じた損害も補償
住まいるパートナー (アクア少額短期保険株式会社) | |
補償内容 | 補償金額 |
---|---|
孤独死の復旧費用保険金 | 100万円 |
家財保険金 | 133.1万円 |
修理費用保険金 | 100万円 |
賠償責任保険金額 | 1,000万円 |
保険料 | |
保険期間 2年 一括保険料 13,000円 |
【住まいるパートナー】の特徴
- 家財を収容する建物の所在地や構造を問わず全国一律の保険料
- 新借用住宅へ の入居から1か月間、新旧の借用住宅内の家財、賠償責任を補償
- 孤独死による借用住宅の損害復旧費用として100万円を限度の補償
孤独死 入居者型 比較ポイント
ここでは、入居者型の保険を選ぶ場合の比較ポイントをご紹介します。
比較ポイント1:補償する内容
入居者補償の特徴は、家財保険のため、孤独死以外の犯罪・災害などの損害に対する補償も含まれることです。しかし、保険によってどこまでが補償されるのかは異なっています。
また、補償の名前や区分も異なっています。家財保険と賠償責任保険の2つに様々な補償が含まれる場合もあれば、修理費用補償と孤独死の復旧費用補償など細かく分かれている場合もあります。
補償してほしい内容が保険に含まれているのかどうか、よく確認するようにしましょう。
比較ポイント2:孤独死の場合の補償相手
入居者型のもう一つのポイントは、孤独死による復旧を補償する場合、補償される相手は誰になるのかということです。
入居者の方が亡くなられた場合、基本的に相続人が補償金額を受け取りますが、相続人にあたる人がいない場合は補償がされない場合もあり得ます。相続人がいない場合でも、きちんと復旧費用は大家さんに補償されるのか、といった点は確認してみましょう。
部屋の原状回復を依頼できる業者とは
孤独死保険で補償される費用をご紹介してきましたが、実際に孤独死の現場を原状回復してもらうためにはどのような業者に頼めばよいのでしょうか。
孤独死の現場は、遺体が発見されるまで時間がたつと、部屋や家具などが汚れたりダメージを受けているだけでなく、異臭や害虫が発生しているおそれがあります。
そのような現場を綺麗にするには、特殊な道具やノウハウを持った特殊清掃業者に依頼することが必要になります。
また、部屋の中がごみや遺品であふれ返っている場合、遺品整理業者に依頼するとごみや遺品の処分まで行ってくれます。特殊清掃業者と遺品整理の両方を行うこともできる業者も多いため、一括で依頼することも可能です。
ここでは、孤独死の現場の原状回復ができる特殊清掃業者と遺品整理業者の費用相場をご紹介します。
①特殊清掃業者の費用相場と作業内容
特殊清掃は、専門の技術と特殊な薬剤を使うため、料金が高額になるのが特徴です。また、特殊清掃の料金は、現場の状況によって異なります。
例えば遺体が発見されるのが遅くなったり、汚れた部分が広範囲に及ぶと、その分料金は高くなります。
間取り別の料金実例
【実例】死後3週間で発見された場合
間取 | 特殊清掃時間 | 消臭時間 | 料金 |
---|---|---|---|
1DK | 4時間 | 48時間 | 60,000円 |
1R | 2.5時間 | 72時間 | 95,000円 |
サービス別の料金相場
サービス別の料金もご紹介します。間取りの広さや死後の経過時間等によって料金が変わってくるため、前述のものとあわせて参考にしてみてください。
サービス内容 | 作業費用 |
---|---|
床の特殊清掃 | 30,000円~ |
浴室の特殊清掃 | 30,000円~ |
消臭剤・除菌剤の散布 | 10,000円~ |
汚れた畳の撤去 | 1枚:3,000円~ |
オゾン脱臭 | 1日:30,000円~ |
作業員の人権費 | 20,000円~ |
②遺品整理の費用相場と作業内容
遺品整理業者の作業費用ですが、部屋の広さによって料金設定されているのが一般的です。
遺品整理相場の料金表
間取り | 料金相場 | 作業人数 | 作業時間 |
---|---|---|---|
1R・1K | 30,000円~80,000円 | 1~2名 | 1~3時間 |
1DK | 50,000円~120,000円 | 2~3名 | 2~4時間 |
1LDK | 70,000円~200,000円 | 2~4名 | 2~6時間 |
2DK | 90,000円~250,000円 | 2~5名 | 2~6時間 |
2LDK | 120,000円~300,000円 | 3~6名 | 3~8時間 |
3DK | 150,000円~400,000円 | 3~7名 | 4~10時間 |
3LDK | 170,000円~500,000円 | 4~8名 | 5~12時間 |
4LDK以上 | 220,000円~600,000円 | 4~10名 | 6~15時間 |
※みんなの遺品整理に掲載されている600社以上の業者のホームページ、3万人以上の実際に利用した金額データから算出しています。(2020年6月14日時点)
※ゴミ屋敷のような状態、特殊清掃が必要だと料金が変わります。
料金表に含まれている作業内容
遺品整理にかかるすべての費用を含んでいます。
・不用品の回収、処分
・まだ使うものと不用品の仕分け
・貴重品の捜索 (遺言書や契約書類など)
・買取品の査定 (料金から査定額を値引き)
・合同供養 (写真や人形を供養します)
・作業後の清掃
安く信頼できる業者の選び方
上記のように、部屋の大きさや現状によって値段は大きく変わりますが、孤独死保険を利用すれば、家主さんに大きな負担がかからずに原状回復ができます。
特殊清掃は特に高額なため、保険を使っていても、安い業者に頼みたいと思われる方も多いと思います。しかし、安さだけを考えて業者を選ぶと、作業の質に問題が出てきます。
例えば、部屋はきれいになったけど、何日かしたら臭いが出てきた、というケースもあります。作業に立ち会うことがほとんどないため、工程を確認できないのが実情です。
ここでは、特殊清掃の業者を探すときに確認すべき3つのポイントをご紹介します。
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実績や資格の有無を確認する
まず確認すべきことは、実績のある業者かどうかです。HPなどを確認して、実際の作業実績や口コミを確認しましょう。
特殊清掃士には「事件現場特殊清掃士」という資格があります。特殊清掃は資格がなくても行えますが、資格があることによって特殊清掃に関する知識があることの証明になります。
見積書の作業内容を確認する
悪徳業者を見極めるために、特殊清掃業者に見積もりを取った場合、見積書を確認するようにしましょう。必ず確認すべきことは以下の2つです。
見積書で確認すべきこと
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相見積もりをとる
一定の質がある業者の中で、少しでも費用を安くするためには、複数の業者に相見積もりをとることが基本です。
見積もりを依頼する際は、相見積もりをしていることを業者に告げましょう。そうすることで不正に料金を上乗せされないだけでなく、同じ質でも安くしてくれることもあります。
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【監修者:一般社団法人事件現場特殊清掃センター】
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