高齢の方に限らず、20, 30代の若い方にも一般的になってきている「終活」。この記事では、自分のためにも、遺される大切な人たちのためにも重要な「生前整理」について解説します。そもそも生前整理とは何なのか、することでどんなメリットが得られるのか、いつ始めればよいのか。「生前整理」にまつわる様々を詳しく解説いたします。

生前整理とは?大切な人のために今からできる7つのこと

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【動画で解説!】生前整理とは?今からできること まとめ

生前整理とは

生前整理の意味

生前整理とは、財産関係の整理を含め、存命のうちに身の回りを整理することです。故人の死後にする「遺品整理」を、存命中におこなうことから対比されて「生前整理」という言葉になっています。

  行う人 行う理由 開始時期
生前整理 本人 ・死後に本人の希望を反映させる
・家族の負担を減らす
20・30代~
老前整理 本人
・家族
・老後をより暮らしやすくする
・家族の負担を減らす
40・50代~
遺品整理 遺族 ・故人の遺品を片付ける 亡くなった後

終活における生前整理では、具体的には以下のようなことをおこないます。

生前整理ですること することの主な内容
家財の整理 家の整理整頓をおこなう。
財産の整理 財産の把握・整理・譲渡をおこなう。
不用品の処分 整理整頓で発生した不要なモノを処分する。
デジタル整理 SNSのアカウント、FXなどの口座、ECサイトで自動保存されているクレジットカード情報、月額料金が発生するサービスなどを把握・整理する。
財産目録の作成 現在自分が所持している財産の一覧を作成する。
遺言書の作成 上記の財産の処分に関する自分の意思を、法律で定められた形式に沿って記入する。
エンディングノートの作成 デジタル整理で把握したアカウント情報とパスワードのセットや、死後の自分の希望をノートに記しておく。

「デジタル整理」など、見慣れない言葉もあったかもしれません。デジタル整理について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてくださいね。

デジタル遺品とは?デジタル整理の方法と頼れる業者

生前整理のメリット

生前整理の目的は自分の死後に向けたものでした。しかし、生前整理によって得られるメリットは、必ずしも死後のものに限りません。

生前整理のメリットには以下の6点が挙げられます。

①死後に遺族にかかる負担を減らせる

自分の死後に遺族は各種解約手続きや遺品整理、死亡届の提出等、さまざまな手続きに追われます。前もって生前整理をすることによって、これらの手続きを軽減することができます。生前整理は自分だけでなく、遺族の安心にも繋がるのです。

②遺産相続のいざこざが少なくなる

遺言状をきちんと作成しておくことで自分の意思を明確に示すことができます。これによって遺族間での遺産相続のもめごとを減らすことができます。

③死後の希望を遺族に伝えられる

生前整理によって、遺族に伝えたいことや遺したいものを整理整頓できます。死後の葬式・供養・埋葬等に関する希望を遺族に伝えることができます。また臓器移植のドナーとなるか、ということに関しても自分の希望を伝えることができます。

④急な入院や不慮の事故の際に周囲の人に助けてもらいやすくなる

自分の死後に限らず、不慮の事故に巻き込まれてけがをしてしまった際などにも、生前整理は役立ちます。保険などの各種手続きや金銭面の処理を家族やパートナー、友人に頼む際にも、重要な書類のありか、パスワードなどが整理されていればスムーズに助けてもらうことができます。言い方を変えれば、この場合も親しい人にかかる負担を軽減することができます。

⑤どこに何があるのかを把握できる

生前整理によって、身の回りのモノを整理するとモノの場所を把握することができ、日常生活においてモノの場所を探す手間が省けます。また、既に家にあるモノを余計に買う必要もなくなり、出費を抑えることができます。

⑥本当に必要なものが何なのかわかる

生前整理は、今までの人生を振り返るよい機会となります。モノや財産の整理をすることで、今後の自分の人生に何が必要で何を大切にしたいのか、自分の心を整理することもできます。

生前整理で注意すべき点

ここまでは生前整理の良い点について触れてきましたが、逆に生前整理においては注意すべき点も存在します。以下では重要な4つの観点についてご紹介します。

①セキュリティの観点

生前整理では権利やお金が関係する重要な書類、個人情報を扱います。例えばデジタル整理をする中で、各種サービスのアカウントとパスワードを記入した書類を紛失してしまっては大変です。大切な情報・証明書等の取り扱いには十分注意を払うようにしましょう。

②労力の観点

「生前整理は早めに始めるといい」と言われる理由はここにあります。

生前整理は体力的にも、精神的にも大きな労力を必要とします。家財の整理でかかる身体的な負担はもちろん、たくさんの情報の整理や、自分の死後について考えるわけですから、頭でもたくさんのエネルギーを使うからです。生前整理は自分の人生にかかわる大切な作業です。焦らず無理のない範囲でおこなうようにしましょう。

③法律の観点

「遺言状」は遺書とは異なり、法律に沿った形式で記述しないと効力を持たなくなってしまいます。特に注意すべきは、自分ひとりで作成できる「自筆証書遺言」の場合です。せっかく書いた遺言状が認められなくては大変です。自筆証書遺言を作成する場合は、必ず前もって形式を確認しましょう。自筆証書遺言では心配がある方は、公証人立会いの下で作成する「公正証書遺言」もおすすめです。

④心の観点

家財の整理をする際、死後の意思表示を考える際には、きちんと話し合いをしておくのがおすすめです。このような内容を話し合うのは勇気のいることですが、家族や親しい人にとって重要なものもあります。自分の意思を尊重しつつ、家族や親しい人に相談しておくことで、もめごとを減らしたり、後に決断の助けにもなります。

生前整理はいつから始める?

生前整理はできるだけ早い時期から始めるのがおすすめです。近年は20代、30代といった若いうちから始める方もいます。生前整理を早めに始めたほうがよい理由は以下の2点です。

①不慮の事故が起きたときに、大切な人の負担を減らせる

繰り返しとなりますが、早めの生前整理によって大切な人の負担を軽減できます。「終活なんて自分には早い」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、特にパートナーや子どもがいる場合には生前整理は重要です。

例えば死後、遺言書がない場合には、相続人全員が協議の上で「遺産分割協議書」を作成する必要があります。関係が良好な場合は多少は軽減されますが、これは遺族にとって大きな負担となります。

②安全でスムーズな生前整理をおこなうことができる

ある時を境に、年を追うごとに体力、判断能力は衰えていきます。高齢になってから生前整理を行うと、体力の衰えから怪我をしてしまう場合もあります。

また、判断能力が衰えてしまい遺言や財産・物の整理が大変になったり、最後までおこなえないこともあります。早めに生前整理を行うことで、安全でスムーズに生前整理をおこなうことができるのです。

生前整理の進め方とは?7つのポイント

生前整理は具体的にはどのように行えばよいのでしょうか。冒頭で説明した生前整理でする7つのことに沿って、それぞれのポイントをご紹介します。

【参考記事】生前整理のやり方、進め方について詳しくはこちら

1.家財の整理

まずは、家財を必要なものと不要なものに仕分けします。「必要なもの」「不要なもの」の他に、判断に迷ってしまうものを「保留」に分類するとスムーズです。

「保留」のものは、半年など時期を決めてもう一度判断します。仕分けの時は「保留」と「必要なもの」はなるべく少なくするように気を付けましょう。例えば「半年以上使っていないものは処分する」など、判断基準を作るのもおススメです。

2.財産の整理

家財の整理をしつつ、財産に関する書類も含め、今後必要になる貴重品は整理しましょう。まとめておくべき貴重品・書類には以下のようなものがあります。

まとめておくべき貴重品や書類
  1. 通帳、カード
  2. 印鑑
  3. 年金手帳
  4. 株式や債券、金融資産に関する書類
  5. 貴金属
  6. 保険関係の書類
  7. 不動産関係の書類
  8. 公共料金やインフラに関する書類
  9. 債務、ローンの契約書類

3.不用品の処分

分別後に出た不用品は、決められた地域のルールに従って処分しましょう。

〈参考記事〉家財別処分方法のまとめ

不用と判断したものの中でも、まだきれいなものや価値のあるものは買取を依頼することもできます。以下のようなものは、特に高く売れる場合があります。

高額な買取が期待できるものの例
  1. 骨董品、芸術品、陶器
  2. 宝石類
  3. ブランド品(服、時計など)
  4. カメラ、レンズ
  5. オーディオ機器や楽器
  6. 家具・電化製品

不用品の買取について詳しくはこちら

4.デジタル整理

ネット証券やFX、SNSのアカウント、クレジットカード情報といったインターネット上の情報の整理も忘れずに行いましょう。特に以下の情報は、一覧をつくるなど情報をまとめておくと良いでしょう。

デジタル整理するべき情報
  1. PC,スマホなどのパスワード
  2. ネット証券やFXなどのアカウント
  3. 有料サービスのアカウント
  4. インターネットバンキング口座
  5. 仮想通貨やスマホ決済サービスの情報
  6. ブログやホームページのログイン情報
  7. SNSアカウントのログイン情報や処理の希望

5.財産目録の作成

財産目録に記載する財産は、プラスのものだけでなくマイナスの財産である借金なども含まれます。次に挙げる記載項目について、保管場所や額などを整理してみましょう。

プラスの財産 マイナスの財産
  1. 土地
  2. 建物
  3. 預貯金
  4. 現金
  5. 有価証券
  6. 自動車
  7. 美術品
  8. 骨董品や家具
  1. 借金
  2. 未納の税金
  3. 債務

6.遺言書の作成

「遺言書」とは、法律に基づいた形式で「誰にどの財産を相続させるのか」を明確に記した書類のことです。この「遺言書」にしたがって遺産分割を行うことができ、後の相続トラブルを防ぐことができます。

遺言書は定められた形式でないと法的効力を持たないので、しっかりと形式を確認した上で作成しましょう。

7.エンディングノートの作成

エンディングノートとは、自身が亡くなったときのために、遺族に思いを伝えたり、遺族が行う様々な決めごとや手続きに対し、自分の意見を示すためのノートです。以下でエンディングノートの主な内容の例をご紹介します。

自分自身 本籍地や保険証、免許証、マイナンバーなど
資産 預貯金や年金、資産など
身の回り 携帯電話の契約解除、インターネットサービスのアカウント情報など
親族 親族表や、葬儀に参列してほしい人など
医療・介護 延命処置や介護の希望する内容など
葬儀、納骨 希望する葬儀、納骨の方法など
遺言 遺言書の有無や保管場所など

生前整理は誰がおこなうのか?

生前整理をおこなうのは基本的には本人です。

ご自身で生前整理をする方へ:生前整理のやり方

しかし、生前整理をするのは自分だけでは厳しいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。そんな時には親しい人に手伝ってもらったり、信頼できる専門の業者に依頼するのもひとつの手です。業者に依頼する場合には、生前整理サービスの専門業者への依頼が一般的です。

生前整理業者は何をしてくれるのか?

生前整理業者がおこなうサービス

生前整理業者がおこなうサービスには以下のものがあります。

作業内容 対応の可・不可
身の回りの日用品・家財の整理整頓
財産の整理整頓
不用品の処分
デジタル整理
財産目録の作成
遺言書の作成
エンディングノートの作成 ×

一般的にはエンディングノートの作成を除き、他の全ての作業に関しては業者に依頼できます。全てを依頼する、というわけでなくとも、特定の作業のみを依頼することも可能です。

生前整理を業者に依頼する際の費用の目安

では、専門の業者に生前整理を依頼する際にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。ここでは生前整理でおこなう作業項目ごとの費用の目安をご紹介いたします。

・身の回りの日用品・家財の整理整頓
・財産の整理整頓
・不用品の処分

これら三点に関しては通常の「生前整理サービス」として、まとめて依頼が可能です。費用の目安は以下の通りです。

間取り 料金相場 作業人数 作業時間
1R・1K 30,000円~80,000円 1~2名 1~3時間
1DK 50,000円~120,000円 2~3名 2~4時間
1LDK 70,000円~200,000円 2~4名 2~6時間
2DK 90,000円~250,000円 2~5名 2~6時間
2LDK 120,000円~300,000円 3~6名 3~8時間
3DK 150,000円~400,000円 3~7名 4~10時間
3LDK 170,000円~500,000円 4~8名 5~12時間
4LDK以上 220,000円~600,000円 4~10名 6~15時間
※上記金額は作業費を含む人件費・車両費・回収運搬費・廃棄物処分費をあわせた概算費用となります。

上記の表では部屋の大きさごとの目安の料金をご紹介しておりますが、実際には片付けるモノの量や作業時間によって料金は変動します。依頼時には必ず見積もりの作成をしてもらいましょう。

・デジタル整理

デジタル整理はサービス別にかかる費用が異なります。

依頼内容 料金
Windowsログインパスワードの解除 21,000円
パソコンのデータ移行 8,000円~12,000円
パソコン廃棄 8,000円
インターネットサービスのID、パスワード調査 15,000円
パソコン強制初期化 21,000円
携帯電話、スマートフォンのパスワード解除 20,000円
※この料金表は当サイト掲載業者マレリークのものです。

これらに加えて、デジタル機器を運搬する際の送料がかかる場合があります。また、一度に複数のサービスを依頼する際には、パック料金で割引がなされる場合もあります。依頼前には問い合わせをすると良いでしょう。

・財産目録の作成

料金:50,000~100,000円 

財産目録の作成費用は、その内容により上下します。財産の項目が多かったり、作成に時間がかかる複雑な内容になると、かかる費用が増加します。

・遺言書の作成

遺言書の作成にかかる費用の目安と、依頼先ごとの特徴は以下の通りです。

依頼先 特徴 平均費用
弁護士 法律の専門家であるため、法的な信頼度が高い。費用は高めだが、相続争い等、遺族間のもめごとにも対応できる。 100,000〜300,000円
司法書士 不動産取引の専門家。遺言書の財産項目に不動産が含まれている場合は、不動産の特定を含めた遺言書作成を依頼できる。 70,000〜100,000円
行政書士 比較的費用が安め。特に調査を必要としない簡素な遺言書であればもっともリーズナブルに依頼が可能である。 70,000〜100,000円
信託銀行・信託会社 遺言書作成だけでなく、その保管・遺言執行も含めたサービス料金である。国家資格を有する士業とは異なり、担当者の質が重要である。 1,300,000~1,800,000円

遺言書の作成にかかる費用は、内容、依頼先により大きく上下するようです。この表もあくまで目安ですので、ご自分のニーズに合った依頼先に見積もりを取るようにしましょう。

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終わりに

「生前整理」という概念はまだ十分に広まっていないのが現状です。しかし、自分ためにももちろん、大切な人のことを思えばしておくに越したことはありません。たくさんの記事の中からこの記事を選んで目を通してくださったあなたも是非、前向きに生前整理に取り組んでみてくださいね。

【監修者:一般社団法人遺品整理士認定協会】

遺品整理業界の健全化を目的に2011年設立。

遺品整理士養成講座を運営し、認定試験・セミナー・現場研修などを実施している。

法令順守をしている30,000名を超える会員、1,000社を超える法人会員が加盟。法規制を守り、遺品整理業務を真摯に行っている企業の優良認定、消費者保護のための遺品整理サービスガイドラインの制定もおこなっている。

 

【執筆者:みんなの遺品整理事務局】

東証一部上場企業の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。

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