お部屋の吐血汚れ、ご自身で処理しようとお考えではりませんか?「家族のものだし」「少しの範囲だし」などと思われているようでしたら、大変危険です。
実は吐血汚れには、さまざまなリスクが潜んでおり、清掃業者も「特殊清掃」という特別な対応を行います。
そこで、プロが掃除する際に注意している点をはじめ、特殊清掃の基本的な流れや専門業者の選び方などを解説します。
- なぜ吐血してしまうのか?主な原因
- 吐血清掃を特殊清掃業者に依頼した方が良い理由
- 特殊清掃で吐血を扱う場合の注意点
- 特殊清掃で吐血消毒する時の流れ
- 特殊清掃の相場料金
- 特殊清掃業者を選ぶ時のポイント
- 特殊清掃サービスの流れ
- まとめ
なぜ吐血してしまうのか?主な原因
吐血の主な原因として考えられるのは、食道から胃、十二指腸までの間に発生するなんらかの病気です。
具体例としては、胃の粘膜が部分的に欠損する胃潰瘍や、ピロリ菌などによって十二指腸の粘膜が欠損する十二指腸潰瘍、胃がんなど。
食道の静脈がうっ血して、まるでこぶのように腫れる食道静脈瘤も吐血の原因となる場合があります。
こういった病気以外にも、お酒の飲みすぎや過度なストレスなどによって引き起こされる急性胃粘膜病変が関係して吐血するケースもあります。
他にも、頭痛や腰痛、発熱などの際によく使用される解熱剤「アスピリン」の副作用により、胃炎や潰瘍を引き起こし、吐血することもあるようです。
このように、吐血の原因はさまざまであり素人目には判断できず、血液にどのような菌が含まれているかもはかり知ることができません。
吐血清掃を特殊清掃業者に依頼した方が良い理由
吐血汚れはプロであっても高度な清掃技術を用いた「特殊清掃」という対応を行います。このことからもわかるように、一般の方では対応しづらい問題をはらんでいます。
衛生面での危険性
さまざまな病気によって引き起こされる吐血には、病原菌が潜んでいる可能性があるため、血液に直接手が触れてしまうと接触感染する恐れがあります。
さらに病気の種類によっては、空気感染する危険性もあるため、自力での掃除はリスクが大きいといえます。
また、吐血した場所は独特のにおいが発生したり虫が集まったりすることもあり、ご自身で掃除するのはなかなか難しいと感じるはずです。
単純に血液の汚れやにおいが落としにくいため、専門的な知識と技術、道具をそろえている特殊清掃業者にお願いするのがおすすめです。
精神的な負担
目の前に広がった血液汚れをご自身で掃除するとなると精神的な負担が大きいものです。ちょっとした擦り傷や切り傷などとは違い、吐血の場合は多くの血を吐き出してしまうケースも考えられます。
その大量の血を目の前にしながら掃除を行うと、ストレスを感じるなどして気分が悪くなったり、気持ちが沈んでしまったりすることもあるでしょう。
その負担を軽減するためにも、プロへ頼む方が多くいらっしゃいます。
結果的なコストカット
ご自身で掃除をするとなると、いろいろな道具や洗剤などを買いそろえなければなりません。
また、接触感染や空気感染を避けるためのマスクや手袋、防護服といった衛生用品も必要不可欠。こういった道具をあれこれ買いそろえていると、結果的に多くの費用がかかってしまうでしょう。
特殊清掃業者に依頼すれば、ご自身で必要な道具や薬剤をそろえる手間・コストを省くことができます。
また、ホームセンターなどでそろえられる道具や洗剤は、一般的な掃除向け。血液のような特殊な汚れは落としにくいため、プロの技術を頼るのも手段なのです。
特殊清掃で吐血を扱う場合の注意点
吐血した際の特殊清掃では、どのようなことに注意して掃除を行うのか、プロが意識するポイントをご紹介します。
特殊清掃で必要な道具
吐血の特殊清掃では、接触感染や空気感染を回避するため、マスクやゴム手袋、防護服といった衛生面を考慮した道具の準備がかかせません。
また、血液を拭き取るための雑巾や、使用済み雑巾を捨てる際に必要なビニール袋、血液をきれいに落とす洗剤、そして消毒・消臭する薬剤も必要なアイテム。
吐血した部分をきれいに掃除するだけでなく、空気中に舞っている可能性がある菌を消毒する散布型の薬剤や道具も用意する必要があります。
これらの道具や薬剤などは、プロ仕様のため一般に出回っていない特殊な物も多いです。
吐血消毒する時の基礎知識
吐血を消毒する薬剤は、病院でも使用されている次亜塩素酸やオゾンなどが代表的です。
時間の経過とともに血液は固まるため、消毒の際には血液を溶かす薬剤を使用してから消毒します。
殺菌といえば熱湯消毒をすれば良いと思いがちですが、お湯は血液を固めてしまう可能性があるため、逆効果です。
特殊清掃で吐血消毒する時の流れ
1.感染症対策 |
一口に特殊清掃とは言っても、日頃利用することが少ないサービスのため、イメージがつきづらいでしょう。
一般的な特殊清掃業者が行う手順をご紹介するので、優良業者を選定するためのポイントとしてご覧ください。
感染症対策
血液に含まれている可能性がある菌を避けるため、手袋やマスク、防護服などを着用します。
感染症対策を怠りなんらかの病気に感染した場合、作業員自身の健康を害する恐れがあるためです。たとえ、吐血から時間が経過していたとしても油断はできません。
部屋の空気中や壁、床など、どこに菌が潜んでいるかわからないため、十分な感染症対策を施します。
部屋全体の洗浄
特に吐血量が多い場合は、まず部屋全体の洗浄を行います。
汚れているのは血液が付着している場所だけだと思いがちですが、その部分以外にも菌や汚れが飛び散っている可能性があるのです。
部屋全体を洗浄することで、空気中に舞っている可能性がある菌をクリーンにします。この作業には、除菌剤やオゾン噴射などを行うのが一般的です。
吐血があった箇所の清掃
吐血には血液や体液が含まれており、その成分のほとんどはたんぱく質でできています。
そのため、まずはこのたんぱく質を浮かせて取り除けるよう、特殊な薬剤をまき、ブラシなどでこすってきれいにします。
ブラシでこすって浮いた汚れを雑巾などで拭き取って、吐血を除去する作業は完了。
吐血した場合、目に見えて分かる場所だけでなく、その周辺にも汚れが飛び散っていることがよくあります。そのため、吐血した箇所の周辺にも汚れがないかしっかり確認します。
場所によってはブラックライトを使用して、血液や体液が飛び散っていないかきちんとチェックします。
また、吐血が発生する場所はキッチンやトイレ、リビングなどさまざま。場所によってフローリングやクッションフロアなど、床の素材も異なるでしょう。
このように、吐血した場所の床材に合わせた薬剤を使って清掃作業を行うのがプロの仕事です。
消毒・コーティング作業
作業の仕上げともいえるのが消毒・コーティングの作業です。
消毒を行うことで、見た目だけでなく、衛生的にもきれいにします。さらに、血液独特のにおいを取り除くため、専用の薬剤を散布。
吐血した部分をきれいにしてもにおいが取り切れない場合に、掃除をした上からコーティングを施すケース、壁紙や床板などを剥がして清掃するケースもあります。
このように、吐血の清掃作業は目に見える部分だけでなく、菌の除去や消臭といった目に見えない部分までしっかりと行うのが基本です。
特殊清掃の相場料金
床 |
40,000円~ |
浴室・トイレ |
50,000円~ |
通常、吐血汚れは体液やウジ虫など他の特殊清掃が必要な場合が多く、吐血汚れに対するオプションを設定するのが一般的です。
オプション金額は、範囲にもより変動いたしますが上記程度が相場です。業者によっては吐血自体の範囲ではなく、部屋単位でのパックプランを用意していることもあります。
また、吐血した場所の床材やどの程度まできれいに清掃するかなどによっても料金が前後します。
床材に血液が染み込んでいる、吐血が流れこんだ可能性のある排水管を交換するなど、作業が複雑であればあるほど、料金が高くなりやすい傾向です。
正確な金額を知りたい場合は、見積もりをご依頼ください。
特殊清掃業者を選ぶ時のポイント
特殊清掃業はニッチな業界のため、しっかりとした対応を心がけている優良業者と評判の悪い悪徳業者の見分けがしづらい背景があります。
そこで、業者をお選びの際はご紹介するポイントを意識してお探しください。
訪問見積もりが無料
吐血の処理ができる特殊清掃業者を探す際にまずチェックしたいのが、見積もりを無料で行ってくれるかどうか。
有料での見積もりであればコストが余計にかかってしまいます。一方、見積もりなしで業者を選ぶと、支払いの際に予想外の金額を提示されるケースもあります。
吐血の範囲や汚れている場所などによっても費用が変わるため、実際に現場に来て見積もりを行ってくれる特殊清掃業者を選ぶようにしましょう。
事前に請求額が確定する
業者によっては作業後に追加請求をされる場合があります。作業をお願いする側からすると、掃除終了後に追加料金が発生することで、不信感を抱くこともあるでしょう。
また、わざわざ見積もりをお願いしたものの意味のないものになっているという考え方もできます。
できるだけ気持ち良くスムーズに支払いができるよう、請求額に追加請求が発生しないかどうか前もってご確認ください。
人に無害な薬剤を使用している
人の身体にとって無害な薬剤を使用している特殊清掃業者を選ぶことも、選ぶ際に注意したいポイント。
日々生活するスペースに有害な成分を含む薬剤を使用されてしまうと、その後安心して暮らすことができません。
吐血で汚れた箇所をきれいにするための洗剤や、仕上げで使用する消毒液など、特殊清掃で使用する薬剤すべての成分について確認しておくと良いでしょう。
問い合わせた際や見積もりの際などに、使用する薬剤がどのようなものなのか詳しく聞いてみてください。
口コミ評判が安定している
どの特殊清掃業者を選ぶか迷った時には、WEBサイトの口コミをチェックし、悪い口コミが少なく、良い口コミが多いところを選ぶのがおすすめです。
実際にサービスを利用した方々のリアルな声は、参考になるでしょう。
吐血した箇所をしっかりきれいに清掃してくれたか、スタッフの対応はどうだったかなどを、特にしっかりチェックしておくと、よりご自身にマッチした特殊清掃業者を見付けられるはずです。
公式WEBサイトはもちろん、口コミサイトなどもチェックしてみてください。
近隣への配慮・守秘義務がある
特殊清掃をお願いする際には、近隣への配慮と守秘義務をきちんと守ってくれる特殊清掃業者を選びましょう。
清掃時にご近所へ挨拶に行ってもらう際など、人間関係に配慮してくれるかどうか契約前に確認しておくと安心です。
また、場合によっては、吐血によって特殊清掃を行ったことを知られたくないケースもあるはず。
ときには体調が悪いことを周囲に悟られたくない場合もあるでしょう。こういった場合には、守秘義務を徹底してもらえるかどうかも確認して選ぶと、気持ちの良いサービスが受けられるはずです。
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特殊清掃サービスの流れ
1.問い合わせ・日程調整 |
吐血汚れは数週間以上も病原菌が残り続ける場合があり、迅速な対応が欠かせません。特殊清掃サービスを業者に依頼する流れをチェックし、お早めにご依頼ください。
問い合わせ・日程調整
吐血した箇所を発見したら、まずは口コミなどを参考に吐血に対応してくれる特殊清掃業者を探し、コンタクトを取りましょう。
そして、見積もりに来てもらう日程を調整してもらいます。
基本的に吐血の場合は、現場に直接足を運んでもらって見積もりを取るのがおすすめ。
どこがどれくらい汚れていて、どの程度きれいにするのか、実際の現場を見てしっかり判断してもらうことで、作業後の料金追加を避けられるはずです。
訪問見積もり・契約
実際に見積もりを出してもらうために特殊清掃業者に来てもらい、詳しい金額を計算してもらいましょう。
このとき、どのような薬剤を使うのかなど、詳しく聞いておくことが大切です。
どんな小さな疑問や不安もしっかりと聞いておくことで、より安心してサービスを受けられるでしょう。
見積もり内容と金額に納得できたら、契約となります。正式に契約したら、実際に清掃を行う日程を決めるのが一般的です。
特殊清掃作業・支払い
契約時に約束した日程に特殊清掃を行ってもらいます。
清掃終了後、現場を確認したのち、支払いを行うのが基本の流れです。支払いの際に困らないよう、使用可能な支払方法も事前に聞いておくようにしましょう。
まとめ
吐血した場所をきれいにしたい時は、専門的な知識や道具、薬剤を取りそろえている特殊清掃業者にお願いするのがおすすめ。
自力での掃除は、なかなかきれいにすることができない他、感染症や精神的なストレスなどのリスクが考えられます。
また、清掃の基本的な流れや申し込み方法などを覚えておくことで、いざという時に慌てずに済むはずです。
ご紹介した特殊清掃業者選びのポイントを参考に、納得できる業者をお選びください。
なお、みんなの遺品整理は協会に認定された優良業者のみをご紹介いたします。
ご希望のニーズにあわせて業者選びもお手伝いいたしますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。
【監修者:一般社団法人事件現場特殊清掃センター】
特殊清掃業界の人材育成と料金体系の健全化に向けて設立された団体。「ゴミ屋敷」や「孤立死の現場」「新型コロナウイルスの除菌」など、特殊な対応が求められる現場において、適切な処置を実施できるよう「事件現場特殊清掃士」養成講座を通して正しい知識・理解を広める活動を実施。また、事件現場特殊清掃士が在籍する業者の法令順守や作業品質の監査も実施。全国各地の優良業者の紹介も担う。
公式HP:一般社団法人事件現場特殊清掃センター
【執筆者:みんなの遺品整理事務局】
東証プライム市場上場企業の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。
はじめての遺品整理でも、専門知識が豊富な相談員が中立な立場で、無料アドバイスをさせていただきます。大切な人の生きた証を残しつつ、気持ちよく次の世代へ資産や遺品を引き継ぐために、私たちは、お客様一人一人に最適なお手伝いができる情報提供・業者のご提案を致します。