事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLの子会社であり、実家の片付け・遺品整理業者比較サイト「みんなの遺品整理」を運営する株式会社LIFULL senior(代表取締役:泉 雅人)は、ご家族の遺品整理を担われたご経験のある方に「デジタル遺品整理の実態調査」を実施しました。
デジタル遺品とは、デジタル機器を通さなければ確認できない遺品を指します。スマートフォンやPCなどのデバイスはもちろん、ネットショップに登録したクレジットカード情報やSNSのアカウントなど、ログインすることで把握できるものまで含まれます。そのため、故人がどのようなデジタル遺品を残していたかの把握が難しく、社会問題にもなっています。
本調査では、約9割以上の方が故人の生前にデジタル遺品についての会話が十分にできていなかったことが明らかになりました。実際にデジタル遺品を整理されたご家族が置かれた状況を、調査結果と専門家の視点から解説します。
- 1. デジタル遺品の整理を完了させられずに「放置」している方は約3割。すべて完了させられたのはわずか2割。
- 2. 9割の方は故人が生前のときにデジタル遺品に関する会話をできていない。
- 3. 6割強の方がデジタル遺品を認知していながら、対策が不十分であったと回答。
- 4. 半数以上の方が故人のデジタル遺品情報を管理していなかった。
- 5. デジタル遺品の整理で何かしらの困りごとがあったのは8割強。全容が把握できておらず不安を抱えた方が約6割。
- 6. 生前にデジタル遺品の対応を求めているのは約9割。デジタル遺品リストの作成を希望する方が半数以上。
【調査サマリ】 |
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・故人の生前にデジタル遺品に関する会話が十分でなかった方は9割。背景には、考えが及ばない・急逝・話題を避けていたなど様々。 |
【調査対象】 |
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調査期間:2024年2月28日〜3月5日 |
1. デジタル遺品の整理を完了させられずに「放置」している方は約3割。すべて完了させられたのはわずか2割。
故人のデジタル遺品に関する整理状況について伺ったところ、「概ねの整理は完了できた」が51%と最も多いものの、「対応がわからず、すべて放置した」が2%、「あまり整理が完了できず、放置するものが多かった」が27%に上り、放置という選択をした方が約3割もいることが明らかになりました。
「すべての整理を完了できた」は20%にとどまり、整理をやりきれない背景には、デジタル機器を通さなければ実態把握ができないという、デジタル遺品の特性があると考えられます。
国民生活センターによせられた相談例として、故人が使用していたスマートフォンやPCなどのロックが解除できず、手続きに自体に進めないというものもあります。
2. 9割の方は故人が生前のときにデジタル遺品に関する会話をできていない。
生前の故人とデジタル遺品の対応について話し合うことができていたか伺ったところ、「故人に働きかけたがが、十分に対応してもらえなかった」(36%)が最も多く、次いで「故人から働きかけがあったが、十分に対応できていなかった」(31%)、「故人と話すことができなかった」(23%)という結果に。
9割の方は会話が不十分であったと認識していることがわかりました。
会話が不十分なままとなった背景については、デジタル遺品の整理まで考えが及んでいなかったり、急逝したことで備えられなかったりしたという意見が目立ちました。
また、生前整理の話題そのものを避けるような振る舞いをする方がいることも明らかになりました。
「故人と話すことができなかった」を選択した方の自由回答抜粋 |
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・デジタル遺品という物に考えが及んでいなかった。 |
3. 6割強の方がデジタル遺品を認知していながら、対策が不十分であったと回答。
故人の生前、ご家族がデジタル遺品というものを認知していたかを問う設問では、「認知していたが、対策が不十分だった」と回答した方が最も多く、63%に上りました。
また、デジタル遺品という概念を「認知していなかった」という方も28%いることが明らかになりました。
当結果の背景としては、前設問述の「会話が不十分であった」理由と同様に、デジタル遺品まで思考が及んでいなかったり、まだ検討する段階にないと判断していたりするケースがあると考えられます。
4. 半数以上の方が故人のデジタル遺品情報を管理していなかった。
生前より故人のデジタル遺品にまつわる情報をどのように管理していたかを伺ったところ、「特に管理していなかった」と回答した方が51%となり、過半数は対策を行っていなかったことがわかりました。
なお、管理されていた方においては、「紙に記録して保管していた」(26%)が最も多く、「家族や親しい人と共有していた」(22%)「デジタルツール(例:Excel、専用アプリなど)に記録して保管していた」(15%)と続きました。
中には「紙に記録し家族に共有」など、複数の手段を併用するケースも見受けられます。
5. デジタル遺品の整理で何かしらの困りごとがあったのは8割強。全容が把握できておらず不安を抱えた方が約6割。
故人のデジタル遺品の整理において発生した困りごとを伺ったところ、「全容がわからず、必要な対応が不明だった」(58%)が最も多い結果となりました。
次いで「故人のPC、スマートフォンなどのロックを解除できなかった」(32%)と回答した方が多いことからもわかるように、デジタル遺品情報の多くを占めているデバイスの解除ができず、全容把握を難しいものにしていると考えられます。
6. 生前にデジタル遺品の対応を求めているのは約9割。デジタル遺品リストの作成を希望する方が半数以上。
デジタル遺品の整理を経験した今、生前に故人にしてほしかった対応を問う設問では「登録状況・アカウント・パスワードの詳細リストを用意する」(55%)が最多でした。
デジタル機器を通すことでのみ確認できるデジタル遺品の特性上、全容を把握できるリストのニーズが高いことがよくわかります。
デジタル遺品の把握手段については、消費者庁などにも相談が多くよせられ、国民生活センターもデジタル遺品リストの作成を促しています。
なお、次いで「管理や引継ぎに関する自分の意向や希望を書面で残す」が39%と多く、故人の望みについて生前に確認しておくことで困りごとを未然に防ぐことにつながると考えられます。
監修者
一般財団法人遺品整理士認定協会
常務理事兼事務局長 長谷川正芳
ペット産業・建築不動産業を経験し、現職に至る。現在は一般財団法人遺品整理士認定協会で遺品整理の現場や対応方法について専門家を育成すべく「遺品整理士養成講座」を開講。ご遺族に寄り添う遺品整理士を育成し、遺品整理業界の健全化のため、活動を進める。
公式HP:一般財団法人遺品整理士認定協会