「賃貸で貸している部屋がゴミ屋敷になってしまった。どう対処したらいいんだろう」

「ゴミ屋敷の苦情を受けて行ってみたら、悪臭や害虫の被害がひどく、解決方法を知りたい」

所有している物件がゴミ屋敷になってしまった場合、大きなショックを受ける大家さんは少なくありません。テレビ番組やニュースで流れるようなゴミ屋敷の衝撃的な光景が、まさか自分の所有している物件で起きているなんて想像もしないでしょう。

ゴミ屋敷は物件自体の価値を落とし、賃貸経営に大きな影響を与える問題です。

そのため、所有している賃貸物件にゴミ屋敷があるとわかったら、すぐに対処しなければなりません。

ゴミ屋敷問題への対処が遅れると、より深刻な被害につながります。危険を回避するために、大家さんとして可能な対処をすぐに行う必要があります。

そこでこの記事では、ゴミ屋敷問題に直面している大家さんに向けて、

・ゴミ屋敷に早急に対処しなければならない理由

・大家さんが取るべき対処法

・ゴミの撤去や修繕にかかる費用の負担

・今後、ゴミ屋敷のトラブルを回避するための対策

などを詳しく解説します。

最後まで読むと、ゴミ屋敷に対する対処法を理解して実践できることはもちろん、万が一ゴミ屋敷のまま退去されてしまっても、正しい方法でゴミを処分し入居者に費用負担を請求することが可能です。

また、ゴミ屋敷トラブルを回避するための対策も立てられるため、ぜひ最後まで読み、今後の円滑な賃貸経営にお役立てください。

大家さん必見!賃貸のゴミ屋敷問題の正しい対処法と今後の対策を解説

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1. 賃貸物件のゴミ屋敷は放置厳禁!大家としてすぐに対処しよう!

 

所有している賃貸物件がゴミ屋敷になり、近隣住民や物件自体に影響が出ているなら、すぐに行動を起こして対処することが必要です。

 

ゴミ屋敷問題への対処が遅れると

 

・悪臭や害虫が発生して近隣住民や物件にダメージが出る

・ゴミ屋敷特有の状況が火災リスクを高める

・入居者が減少し家賃収入が減る

 

といったことが起こり、賃貸物件の経営に悪影響を与えてしまいます

 

そのため、深刻な事態に陥る前に、早急な対処が必要です。

 

ゴミ屋敷への対処が遅れることで発生してしまう問題について、具体的にお伝えします。

 

1-1. 悪臭や害虫が発生して近隣住民や物件にダメージが出てしまう

 

ゴミ屋敷にすぐに対処すべき理由として、悪臭や害虫が発生することで、近隣住民への被害や物件自体のダメージが広がってしまうことが挙げられます。

 

蓄積されたゴミが増えると、ゴミが放つ悪臭やねずみ・ゴキブリなどの害虫が発生します

 

ゴミの種類にもよりますが、食料品や汚物などのゴミが多く含まれている場合は、悪臭もより強く、広範囲に影響を与えてしまうでしょう。

 

とくに気温が高く腐敗が進みやすい夏場は、かなりの悪臭が漂うはずです。

 

そうなってしまうと、近隣住民の生活にも影響が出て、洗濯物の外干しができず、換気をしたくても臭くて窓を開けられないような状態になってしまうでしょう。

 

物件自体に出るダメージも深刻です。

 

・部屋全体に悪臭が染みつく

・害虫の被害が物件全体に広がる

・壁や床、扉などに汚れがこびりつく

 

などのダメージが部屋や物件全体に広がり、大規模な修繕が必要となります。

 

そのため、ゴミ屋敷によって近隣住民や物件自体へのダメージが広がってしまう前に、早めの対処が必要です。

 

1-2. ゴミ屋敷特有の状況が火災リスクを高め

 

 

ゴミ屋敷は、火災が起こるリスクが非常に高い状態です。

 

火災が起こると、ゴミ屋敷にした入居者だけではなく、近隣住民や物件自体も大きな被害を受けてしまいます。最悪の場合、死者が出てしまう危険性もあるのです。

 

そのような取り返しのつかない被害が出る前に、すぐにでも対処する必要があります。

 

ゴミ屋敷で高まる火災リスクは、入居者のタバコや火の不始末による火災だけではありません。

 

ゴミ屋敷特有の状況が

 

・トラッキング火災

・ねずみによる出火

・放火の被害

 

といった火災発生リスクを高めてしまいます

 

ゴミ屋敷特有の状況が高める火災のリスクについて、詳しく説明します。

 

1-2-1. トラッキング火災

 

ゴミ屋敷になることで、トラッキング火災の発生リスクが高まります。

 

トラッキング火災とは、コンセントとプラグの隙間にたまったホコリなどが湿気を吸収し、漏電することで火災が発生する現象です。

 

ゴミ屋敷は家中にゴミが散乱しているため、掃除もままなりません。

そのため、至るところにホコリがたまっているゴミ屋敷は、いつトラッキング火災が起きてもおかしくない状態といえるでしょう。

 

また、ゴキブリがコンセントから侵入し、死骸やフンに引火してトラッキング火災が起きた事例もあります。

 

1-2-2. ねずみによる出火

 

ゴミ屋敷に住み着いたねずみによって、火災が起きる場合もあります。

 

ねずみは、狭いところに入り込んで硬いものを齧る習性があり、

 

・ねずみが齧ったことによるコードの破損

・ねずみの尿が原因の絶縁不良

 

などの出火によって火災が発生するため、注意しなければなりません。

 

また、ゴミ屋敷はねずみの食料となる食材や生ゴミが大量に放置されています。隠れる場所が多く暖かいため、ねずみにとっては大変住みやすい環境が整っているといえるでしょう。

 

そのため、ゴミ屋敷になっていると、住み着いたねずみによる火災リスクが高まってしまいます

 

1-2-3. 放火の被害

 

ゴミ屋敷は、放火の被害を受けるリスクが高まります

 

なぜなら、ゴミ屋敷は

 

・燃えやすいゴミがたくさん放置されている

・近隣住民からの恨みを買いやすい

 

状態だからです。

 

そのため、放火犯のターゲットにされてしまう可能性があるのです。

 

1-3. 入居者が減少し家賃収入が減る

 

ゴミ屋敷への対処が遅れると入居者が減少し、家賃収入が減ってしまう可能性があります。そのため、可能な限りすぐに対処しなければなりません。

 

同じ物件内にゴミ屋敷がある場合、高い確率で入居希望者が減少するでしょうゴミ屋敷の隣室に住んでいる入居者が退去してしまうケースも多く見られます。

 

先述したように、ゴミ屋敷からは強烈な悪臭や害虫が発生し、近隣住民に多大な迷惑がかかります。

そのため、ゴミ屋敷の存在を知れば、

 

「ゴミ屋敷の近くに住みたくない」

 

と考えるのは当然です。

 

ゴミ屋敷が原因で入居希望者が減り、退去が増えると、家賃収入に大きな影響を与えてしまいます

それだけではなく、以下で詳しく説明しますが損害賠償を請求されてしまう可能性もあるのです。

 

そのため、ゴミ屋敷の存在がわかった段階ですぐに対処し、早期の解決に向けて動くことが重要です。

 

大家さんがゴミ屋敷の隣室の入居者から引越し費用を請求される場合もある

ゴミ屋敷の被害に耐え切れず隣室の入居者が退去するようなケースでは、大家さんが隣室の入居者から引越し費用を請求される可能性があるため、注意が必要です。

 

賃貸借契約において、貸主は借主に対して部屋を通常どおりに使用させる義務を負います。

 

そのため、ゴミ屋敷の影響がひどく、隣室では通常どおりの生活を確保することが難しいと判断された場合は

 

「隣室の入居者に対して、貸主である大家さんが義務を果たしていない」

 

と見られてしまうのです。

 

過去には、ゴミ屋敷を放置し隣室の入居者に対する義務を果たしていないことが引越し費用を発生させた原因と判断され、債務不履行による損害賠償を請求された事例があります。

 

2. 賃貸のゴミ屋敷に大家として取れる対処法は3つ

 

ゴミ屋敷には、すぐに対処することが不可欠だとお伝えしました。

 

しかし、勝手に片付けてしまえば解決するかというと、そう簡単な問題ではありません。

 

共用部分に放置されているゴミでも、勝手に処分することは避けてください

 

客観的に見てゴミと判断されるものでも、入居者が財産だと主張すれば財産権の侵害となってしまいます。

 

そのため、基本的には入居者本人がゴミ屋敷を片付けるように説得することが大切です。

 

賃貸物件がゴミ屋敷になっているとわかったとき、大家さんが取れる対処法は以下の3つです。

 

賃貸がゴミ屋敷になったときに大家さんとして取れる対処法3つ

・内容証明郵便でゴミを撤去するよう通知する

・自治体に相談する

・入居者を強制退去させる

 

ひとつずつ詳しく解説します。

 

2-1. 内容証明郵便でゴミを撤去するよう通知する

 

まずは入居者にゴミの撤去を求める書面を作成し、内容証明郵便で送りましょう

 

ゴミ屋敷問題は、慎重に対処しないと想定外のトラブルを誘発してしまう危険性があります。

 

「内容証明郵便で伝えるなんて回りくどい」と感じるかもしれませんが、更なるトラブルを防ぐためには、書面を作成し内容証明郵便で通知することが非常に重要です。

 

内容証明郵便で送ると、

 

・書面で送った内容

・宛先の住所・氏名

・差出人の住所・氏名

・発送日

 

を証明する履歴が残せます。

 

そのため、のちに大きなトラブルに発展して裁判になってしまった場合にも、ゴミ屋敷問題に対処していた証拠として役立つのです。

 

送った書面自体に法的な効力が発生するわけではありません。

 

しかし内容証明郵便を送ることで大家さんや管理会社の「ゴミ屋敷を解決したい」という強い意志が入居者に伝わり、早期解決につながるケースもあります。

 

内容証明郵便で送る書面には、

 

・具体的な期日を指定し、ゴミを撤去するように伝える

・期日までに完了しない場合は、賃貸借契約を解除し退去してもらう

 

ことを記載します。

 

改善されない場合は、複数回にわたって内容証明郵便で通知してください。

 

実際は、期日までに改善されないからといってすぐに退去させることはできません。

 

しかし、内容証明郵便で通知することで、裁判に発展した際にゴミを撤去するよう継続的に働きかけていた証拠を残せます

 

そのため、必ず内容証明郵便を用いて、ゴミ屋敷の入居者に通知することが重要です。

 

なお、内容証明郵便は、個人でも発送可能です。

 

取り扱っていない郵便局もあるため、日本郵政グループの公式ホームページで近くの郵便局が対応しているか確認してから行くことをおすすめします。

 

【注意】書面以外の対処はトラブルが悪化するため避けよう

大家さんのなかには、ゴミを処分しない入居者に対して怒りを覚える方も多いでしょう。

 

相手に対して文句を言いたくなる気持ちはわかりますが、

 

・直接苦情を伝えに行く

・玄関に張り紙で通知する

 

といった、書面で通知する以外の対処はしてはいけません

 

なぜなら、書面以外の対処法はトラブルが悪化する危険性が高いからです。

 

直接訪問して感情的に苦情を伝えると問題が長引く要因となり、逆恨みされることも考えられます。

 

ゴミをため込んでしまう方は、精神的な問題を抱えているケースもあるため、慎重に対処しなければなりません。

 

玄関に張り紙をして周囲にわかるように伝える方法も危険です。

 

隣室や近隣住民から「ゴミ屋敷になっているのではないか」と苦情の連絡を受けたからといって、第三者の目に触れるような形で通知すると、入居者から名誉毀損で訴えられる可能性があるからです。

 

そのため、直接苦情を伝えたり、張り紙などで通知したりする方法は避けてください

 

2-2. 自治体に相談する

 

残念ながら、ゴミ屋敷を直接規制するような法律は、現在整備されていない状況です。

しかし、

 

・ゴミ屋敷の公衆衛生上の問題

・防犯・防災対策

 

の必要性から、自治体ごとにゴミ屋敷を規制する条例を定めている場合があります。

条例がない自治体でも、支援を行っているケースがあるため、自治体に相談することも有効です。

 

ゴミ屋敷問題は、大家さんや管理会社がメインとなって対処する必要はあるものの、自治体のサポートを活用することで、複数方面から入居者にゴミ撤去に向けた働きかけを行えます

 

基本的に、こちらから相談しなければ自治体は動いてくれません。

ゴミ屋敷問題を解決する可能性を高めるために、迷うことなく自治体に相談することが大切です。

 

自治体によって対応に違いはありますが、

 

・訪問や見まわり

・行政指導

・片付け支援

・行政代執行によるゴミの撤去

 

などのゴミ屋敷に対するアプローチを実施してくれます。

 

自治体によって体制が異なるため、相談する際に担当となる課がわからなければ、賃貸物件がある自治体の総合窓口に問い合わせるとよいでしょう。

 

2-3. 入居者を強制退去させる

 

ゴミ屋敷にした入居者を強制退去させることも、大家さんが取れる対処法のひとつです。

 

たとえ今起きているゴミ屋敷問題をどうにか解決しても、今後同じ問題を繰り返さないという保証はありません。

 

そのため、

 

「ゴミ屋敷にするような入居者は、いっそのこと強制退去させたい」

 

と考える大家さんも多いでしょう。

 

ただし、初めから強制退去に向けて動くことはおすすめできません

 

なぜなら、ゴミ屋敷を理由に入居者を強制退去させること自体は可能ではあるものの、大変な時間と労力が必要となるからです。

 

ゴミ屋敷問題は、ゴミを正しく処分しない入居者自身に非があることは言うまでもありません。

 

しかし、入居者には居住権があるため、住居を失う強制退去をすぐに実行することはできないのです。

 

強制退去は、交渉や法的手続きに手間がかかることに加え、状況によっては強制退去までに10~12ヵ月程度の時間がかかる場合もあります。

 

そのため、強制退去が完了するまでゴミ屋敷の被害を受け続けることを考えると、自治体の協力を仰ぎながら入居者本人にゴミを処分するようアプローチすることが先決です。

 

それでもゴミ屋敷問題が解決しない場合は、最終手段として強制退去も視野に入れた対処をする必要があるでしょう。

 

なお、具体的な強制退去の流れについては「強制退去 流れ」で詳しく解説しています。

強制退去を検討している方は、こちらの記事を参考にしながら慎重に対処を進めてください。

 

3. 入居者がゴミ屋敷を放置して退去した場合の正しいゴミの処分方法

 

ゴミ屋敷が発生したら、基本的には先述したように内容証明郵便を送り、自治体からの協力を得て、入居者本人にゴミ屋敷を片付けてもらうことを優先し対処します。

 

その結果、

 

・入居者が求めに応じて期限までにゴミを撤去し、ゴミ屋敷問題が解決する

・期限を過ぎても片付けられず、お互いの合意のもと賃貸借契約を解除し、入居者が退去する

・入居者がゴミの撤去も退去も拒否し、強制退去になる

 

の3つのパターンで、ゴミ屋敷問題が解決することが多いでしょう。

 

しかし、なかには2つ目のケースで賃貸借契約の解除に合意して退去したにもかかわらず、勝手に大量のゴミを放置していく入居者も存在します

 

入居者がたまったゴミの処分をせずに、ゴミを放置したまま退去してしまうのです。

 

そのような場合、大家さんや管理会社の方は、次の入居者に貸すために、一刻も早くゴミを処分してしまいたいでしょう。

 

しかし、入居者が部屋にゴミなどの残置物を残したまま退去してしまったら、簡単に処分はできません

 

放置されたゴミを撤去する場合は、

 

・Step1:入居者にゴミの撤去や所有権の放棄を要求する

・Step2:ゴミの撤去費用を入居者に請求する

 

の正しい手順で処分することが重要です。

 

退去後の部屋に放置されたゴミを正しく処分する手順について、順番に解説します。

 

3-1. Step1:入居者にゴミの撤去や所有権の放棄を要求する

 

退去時に勝手に置いていったゴミとはいえ、所有権は入居者にあります。

そのため、入居者本人に撤去を求める、もしくは所有権を放棄させることが原則です。

 

そのうえで、入居者からの反応をもとに、放置されたゴミの撤去を進めていきましょう

 

まずは、ゴミを放置した入居者に対し、

 

・部屋の残置物を、期限までに撤去するように要求する

・期日までに撤去できない場合は、所有権を放棄する旨を記載した書面を要求する

・所有権を放棄してこちらで処分する場合、かかった費用は請求する

 

といった内容をまとめ、内容証明郵便で送ります。

 

それ以降の対処は、入居者が取る対応によって

 

・入居者が求めに応じてゴミを撤去した場合

・入居者が残置物の所有権を放棄した場合

・入居者から所有権放棄の合意が得られない場合

 

の3つのパターンで異なります。パターンごとにわけて説明します。

 

3-1-1. 入居者が求めに応じてゴミを撤去した場合

 

まずは、入居者が期限までにゴミを撤去した場合の対処法です。

 

この場合は、大家さんや管理会社側がゴミ撤去に向けて動く必要がなくなります

新しい入居者に貸し出すため、すぐに部屋に残ったダメージの修繕に取りかかりましょう。

 

3-1-2. 入居者が残置物の所有権を放棄した場合

 

入居者がゴミを期日までに撤去しなかったら、所有権放棄の書面が届くかどうかで今後の対処が変わります。

 

入居者から残置物の所有権を放棄する書面が届いた場合は、大家さんや管理会社に残置物の所有権が移ります

 

ゴミ屋敷の清掃を請け負っている業者を探し、信頼できる業者に速やかに処分を依頼しましょう。

 

優良なゴミ屋敷の清掃業者を探すおすすめの方法は「4. 安心してゴミ屋敷清掃を依頼できる優良業者を探すならみんなの遺品整理を活用しよう」で詳しくお伝えするため、ぜひ参考にしてください。

3-1-3. 入居者から所有権放棄の合意が得られない場合

 

入居者がゴミを撤去せず、なおかつ所有権放棄の書面も届かないなど、入居者から所有権を放棄する合意が得られない場合は、法律に則って慎重に対処しましょう。

 

具体的に、入居者から所有権放棄の合意が得られないケースとして

 

・入居者と連絡が取れない

・内容証明郵便を受け取っていない

・内容証明郵便に対する返信がない

・所有権の放棄を拒否された

 

などが考えられます。

 

この場合は、訴訟を起こして強制執行によりゴミを撤去する方法で対処しましょう

 

入居者は、賃貸借契約の解除に伴い、建物を入居したときと同様の空にした状態で明け渡す義務があります。

 

無断でゴミなどの残置物を残して退去しただけでは、部屋の明け渡しが完了したとは認められません

 

そのため、法的手段に踏み切り、明け渡しを求めて訴訟を起こして、強制執行で残置物を処分することになります。

 

面倒ではありますが、明らかにゴミに見えても、入居者の所有物であることに変わりありません。

万が一、入居者にとって価値がある大切なものが残置物に紛れていて、勝手に処分してしまったとなると、

 

・損害賠償を請求される

・刑事罰に問われる(器物破損罪・窃盗罪)

 

といった危険性もあります。

 

所有権放棄の合意が得られない場合は、トラブルを回避するために法律に則って対処することが大切です。

 

合意が得られなくても所有権放棄の特約が有効なら処分可能

残置物の所有権を放棄するという合意が得られなくても心配する必要はありません。

賃貸借契約時に「借主の明け渡し後に残置物がある場合は、その所有権を放棄したものとする」という内容の特約を設けている場合は、残置物の処分が認められることがあります。

 

ただし、特約を結んでいても、無断で処分することに問題がないとは言い切れません。

 

特約が有効と認められるのは、事前にお互いの合意のもとで賃貸借契約を解除し、部屋を明け渡したことが前提となります。

 

入居者が残留物があることを知っているにもかかわらず放置し、部屋を明け渡した場合は、

 

「所有権を放棄する意思がある」

 

と見なされるため、改めて所有権放棄の同意を得る必要はありません

 

一方で、入居者が夜逃げ同然でいなくなり連絡が取れないケースなど、退去して明け渡したという意志を確認できない場合は、特約は無効と判断される可能性が高いでしょう。

 

事前に特約を結べば必ずしもゴミの撤去が認められるわけではないため、注意が必要です。

 

3-2. Step2:入居者にゴミの撤去費用を請求する

 

先述したように、残置物を残して退去すると、賃貸借契約は解除しても部屋の明け渡しが完了していない状態だと判断されます。

 

そのため、残置物の撤去にかかる費用は、退去した入居者に負担義務があります。

 

大家さんや管理会社が撤去作業を業者に依頼した場合は、かかった撤去費用の全額を退去した入居者に請求しましょう。

 

しかし、

 

・支払の同意が得られない

・入居者に支払能力がない

・入居者と連絡が取れない

 

などの理由で、結果的に本人から費用を回収できないケースは少なくありません

 

請求書や内容証明郵便で督促状を送っても入居者から支払われない場合は、連帯保証人に事情を説明し、支払うよう請求してください

 

連帯保証人は、入居者が賃貸借契約における義務を果たせなかった場合に、入居者に代わってその責任を負わなければなりません。

 

そのため、残置物撤去にかかった費用は入居者の連帯保証人にも請求できます

 

それでも支払われないようなら、入居者と連帯保証人を相手に支払いを求める訴訟を起こすことも検討する必要があるでしょう。

 

4. 安心してゴミ屋敷清掃を依頼できる優良業者を探すならみんなの遺品整理を活用しよう

 

先述したように、ゴミ屋敷を放置したまま入居者が退去してしまったようなケースでは、大家さんや管理会社が清掃業者を手配しなければなりません。

 

ゴミ屋敷の清掃を請け負っている業者は無数にあり、サービスの質・費用ともに千差万別です。

 

選び方で失敗して悪質な業者に依頼してしまうと、掃除の質に満足できないばかりか、相場よりかなり高い費用を請求されてしまうことも

 

普段から付き合いがあり、信頼している提携業者がいれば安心ですが、安易に業者を選ぶと更なるトラブルに巻き込まれる危険があります。

 

ただでさえ頭が痛いゴミ屋敷問題を抱えているのに、本来手配したり支払ったりする必要のないゴミの撤去のために、新たなトラブルを抱えることは避けたいでしょう。

 

そこで、優良なゴミ屋敷清掃業者を探すのにおすすめなのが、当社サービスの「みんなの遺品整理」です。

 

私たちが提供しているサービスの大きな特徴は

 

・優良業者のみを紹介している

・紹介するすべての業者が厳しい審査を通過している

・複数業者の相見積もりが簡単に取れる

 

という点です。

 

「みんなの遺品整理」は、ゴミ屋敷清掃や遺品整理といった需要が高まるなか、より安心して要望に合う業者を探せるように、全国から厳選した業者を集めてサイトで紹介しています。

 

そのため、お客様の条件を入力するだけで、優良なゴミ屋敷の清掃業者を簡単に探すことが可能です。

 

紹介しているすべての業者が、厳しい加盟審査を通過していることも特徴です。

 

すべての業者に必ず遺品整理士が在籍しており、作業品質の高い優良な業者のみを探せるため、貴重品の捜索などもお任せください。

 

また、サイトから簡単に複数業者への見積もり依頼ができることに加え、業者が提示した見積もり金額が適正であることを、常に私たちがチェックしています。

 

そのため、法外な費用を請求されることはありません。適正な料金で丁寧なサービスを受けられるので、お客様の依頼したい地域や条件に合わせて、安心して業者を選べます

 

相談窓口にご連絡いただくと、プロである私たちが丁寧に業者選びのサポートを行います

 

電話やネットから無料相談を受け付けていますので、ゴミ屋敷清掃業者を探している方は、「みんなの遺品整理」にぜひご連絡ください。


 

 

5. 修繕費用も忘れずに入居者に請求しよう

 

ゴミ屋敷の入居者が退去し、ハウスクリーニングでは手に負えないような状態になっている場合は、部屋に残されたダメージを修繕する必要があります。

 

早急に修繕を行い、新しい入居者が住める状態に整えましょう。

 

一般的な賃貸借契約解除時と同様に、ゴミ屋敷になってしまった部屋の原状回復にかかる修繕費用は入居者に請求できます。

 

国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて算出し、忘れずに請求してください。

 

ただし、ゴミ屋敷になっていた部屋の修繕費用は、一般的に退去時に行われるハウスクリーニングより非常に高額になる傾向があります。

 

そのため、部屋のダメージがひどくて請求金額の算出に迷うようなケースでは、専門家に相談し、正しい請求額を算出することをおすすめします

 

ゴミ屋敷の修繕費用は、部屋の広さやダメージの度合いにより差がありますが、

 

・クロスやフローリングの貼り替え

・腐食による建具の修繕

・扉や浴槽、便器などの取り換え

・部屋全体の悪臭・害虫除去

 

などが積み重なり、数百万円に及ぶケースもあるほどです。

 

このうち、ゴミ屋敷であったことが原因の特別損耗による修繕費用は、入居者に請求可能です。

 

しかし、請求できる金額は、原状回復に必要となる修繕費用のうち、

 

・通常損耗や経年変化を除いた原状回復

・経過年数を考慮した負担割合

・修繕の範囲や方法など、負担対象が妥当であるもの

・本来機能していた状態に戻すための費用(工事費や人件費など)

 

などに限定されるため、全額負担を請求することは難しいでしょう。

 

・経年変化による汚れ、破損など

・通常の使用状況でも発生すると考えられる損耗

 

による修繕費用は、もともと賃料に含まれており、貸主側の負担と判断されるからです。

 

入居者が勝手にゴミ屋敷にしたことが原因で修繕費用が高額になったため、大家さんが「修繕費用を全額入居者に請求したい」と考える気持ちはわかります。

 

しかし、基本的に修繕費用を入居者に全額負担させることはできません

 

ゴミ屋敷になっている場合は、通常よりも「使用していた入居者の責任範囲が大きい」と判断されることもあります。

しかし実際の負担割合については、ダメージや賃貸借契約の特約など、さまざまな条件により異なります

 

自分で算出することが難しい場合は、紛争解決センターや法テラスを活用し、弁護士や司法書士など賃貸関係のトラブルに強い専門家に相談して、正しい請求額を算出しましょう。


ガイドラインを参考にしながら、専門家を交えて妥当と考えられる金額を当事者間で協議し、請求することが必要です。

 

6. 賃貸のゴミ屋敷トラブルを回避するための対策3つ

 

大家さんや管理会社としては、ゴミ屋敷にしてしまうような人の入居はできれば避けたいものです。

 

とはいえ、契約する前に見分けることは不可能であり、ゴミ屋敷を完全に防ぐことは難しいといえるでしょう。

 

しかし、事前に対策を立てることで、

 

・ゴミ屋敷の状態が悪化する

・訴訟にまで発展する

 

といった、トラブルの拡大は回避できる可能性があります。

 

ここからは、今後の賃貸経営において、ゴミ屋敷トラブルを回避するための対策を3つお伝えします。

 

賃貸のゴミ屋敷トラブルを回避するための対策3つ

・賃貸借契約で特約を結ぶ

・定期的に物件を点検する

・ゴミ出ししやすい体制を整える

 

6-1. 賃貸借契約で特約を結ぶ

 

ゴミ屋敷トラブルを回避するために、賃貸借契約をする際に

 

・危険・不潔など、近隣の迷惑となる行為を禁止する

・ゴミ屋敷になった場合は賃貸借契約を解除する

・ゴミ屋敷の影響による修繕費用は借主が負担する

 

などの特約を結んでおきましょう。

 

ゴミ屋敷対策となる特約を明記しておけば、万が一部屋がゴミ屋敷になってしまったときの対処や費用負担の判断に役立ちます

 

また特約は、ゴミ屋敷になったときの保証になるだけではありません。

 

入居者に対して

 

・ゴミの扱いをしっかりと確認する

・費用負担があることを明確に伝える

 

ことで、「ゴミ屋敷にしてはいけない」という抑止力になる効果も期待できます

 

6-2. 定期的に物件を点検する

 

ゴミ屋敷を防ぐには、定期的に外観や玄関前の共用部分などを点検することも有効です。

 

定期的に点検していれば

 

・害虫や悪臭が発生している

・ゴミの蓄積が外から見える

・共用部分にゴミが放置されている

 

などの異変に気づきやすいため、ゴミ屋敷が悪化する前に対処できます

 

また、ゴミをため込んでいる入居者にも、

 

・病気やケガ

・死別などのショック

・認知症の発症

 

などの事情があり、片付けたいのにゴミ屋敷になってしまう人もいるでしょう。

 

点検でいつもと違う状況に気づければ、早い段階で家族や自治体のサポートにつなげるチャンスも得られます。

 

入居者自身の問題が解決し、自主的にゴミ屋敷が片付くのであれば、それ以上の結果はありません。

 

ゴミ屋敷がひどい状況になる前に対処できれば、場合によっては入居者の事情を汲み取った判断も可能になるでしょう。

 

6-3. ゴミ出ししやすい体制を整える

 

賃貸物件自体を、24時間ゴミ出し可能な体制にすることもおすすめです。

 

ゴミ屋敷になってしまうのは、もちろんゴミを大量にため込んだ入居者側の問題です。

 

しかし、なかには決められたゴミ出しルールが守れないことが原因で、ゴミをため込んでしまう方も少なくありません。

 

たとえば、

 

・夜勤などで勤務時間が変則的

・残業が多くて朝早く起きられない

 

などの理由で、決まった曜日の収集時間までにゴミ出しができず徐々にゴミをため込んでしまい、自分で処分できないゴミ屋敷の状態にまでなってしまうのです。

 

24時間いつでもゴミを捨てられる体制であれば、忙しい入居者でも時間や曜日を気にせず捨てられます。

また、部屋にゴミを置かずに済むため入居者からの満足度が高く、入居希望者が増えるメリットも期待できます

 

ただし、物件を24時間ゴミ出し可能にするには

 

・物件専用のゴミ集積場を設置

・定期的なゴミ集積場の清掃

・ゴミ回収業者への依頼

 

などが必要です。

 

依頼する業者や地域・ゴミの量によって異なりますが、月数万円程度のコストがかかるデメリットも無視できません。

 

そのため、物件の立地や現在のゴミ集積場の状態、費用対効果を総合的に考えて判断する必要があるでしょう。

 

7. まとめ

賃貸の1部屋がゴミ屋敷になってしまうと、別の部屋の入居者や近隣住民に多大な迷惑がかかります。

 

ゴミ屋敷問題は、放っておいて改善される問題ではないため、悠長に捉えて問題を先送りにしてしまうと、より深刻な事態に陥ってしまいます。

 

・近隣住民や物件のダメージ拡大

・火災による大規模な被害

・入居者減少による家賃収入への影響

 

といった、取り返しのつかない被害が出る前に、早急に対処することが重要です。

 

なお、ゴミ屋敷になっているからといって勝手に片付けたり、即座に退去させたりすることはできません。

 

大家さんとして取れる3つの対処法を実施し、法的に問題のない方法で粘り強く入居者に働きかけてください

 

賃貸がゴミ屋敷になったときに大家さんとして取れる対処法3つ

・内容証明郵便でゴミを撤去するよう通知する

・自治体に相談する

・入居者を強制退去させる

 

ゴミ屋敷は入居者側の問題です。

 

だからといって、感情的に怒りをぶつけるとトラブルが悪化してしまいます。

 

裁判に発展するケースもあるため、対処した記録を確実に残しつつ、冷静に対処することが大切です。

 

今後は、ゴミ屋敷トラブルを回避できるように、以下3つの対策を実施しましょう。

 

賃貸のゴミ屋敷トラブルを回避するための対策3つ

・賃貸借契約で特約を結ぶ

・定期的に物件を点検する

・ゴミ出ししやすい体制を整える

 

賃貸のゴミ屋敷問題が解決して、今後の円滑な賃貸経営を実現するために、この記事がお役に立てば幸いです

 

【監修者:一般社団法人事件現場特殊清掃センター】

特殊清掃業界の人材育成と料金体系の健全化に向けて設立された団体。「ゴミ屋敷」や「孤立死の現場」「新型コロナウイルスの除菌」など、特殊な対応が求められる現場において、適切な処置を実施できるよう「事件現場特殊清掃士」養成講座を通して正しい知識・理解を広める活動を実施。また、事件現場特殊清掃士が在籍する業者の法令順守や作業品質の監査も実施。全国各地の優良業者の紹介も担う。

公式HP:一般社団法人事件現場特殊清掃センター

【執筆者:みんなの遺品整理事務局】

東証プライム市場上場企業の株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)が運営しています。2017年より業界最大級の遺品整理・実家の片付け業者の比較サイト「みんなの遺品整理」を運営し、全国で累計件数30,000人以上の皆様からご相談・ご依頼をいただいております。

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